第五十七話③
果たしてどうなってしまうのか。結果が気になりながら待ち始めて数分ほどが過ぎたが、女王が戻ってくる気配がない。
あまりに広い城だからな。10分足らずで戻ってくるのは難しいのだろうと、誰も何も言わずにそのまま女王を待っていた。
――
少しおかしい。
今で2、30分は待っているぞ。
あまりに広い城とはいえ、ここまでかかるものだろうか。
俺自身、王国騎士長を探しに城を回った時、かなりの時間を必要としたが、それは俺がこの城の構造を知らないから起こった事であって、女王がここまで遅いのは不自然だ。
女王という立場から、兵士たちに「今、国王は何処にいますか?」と問いかけることも可能だろう。
何より、あの女王のことだから、あまりに時間がかかる場合には一度戻ってくるなりして、俺たちを不安にはさせない筈なのだが。
「少し遅いわね。女王様」
「少しどころじゃないだろ、あまりに遅過ぎる。もしかしてだが……また何か面倒ごとじゃないだろうな」
「縁起の悪い事を言わないでくださいマヤトさん。せっかく全てが片付いたばかりなのに、また何か問題だなんて、」
直ぐ様フラグを解消するかのように、慌てた姿でメイドがこの部屋へとやってきた。
勢いよく開いた扉の音で、皆はそちらに体ごと視線を向ける。
このメイドはたしか、女王に仕えていた者の筈だ。
「どうして血相を変えてこの部屋へ来たんだ?」と問いかけようとしたが、誰よりも先に口を開いたのはメイド自身だった。
「皆さん申し訳ございません……直ぐに王の間まで来ていただけませんか?」
「構いませんけど……何かありましたか?」
「直近で起きたことに比べれば大した事ではないのですが……私ではどうすることも出来なくて……」
困り顔でそう告げるメイドに、俺たちは困惑を示しながらも、「直ぐに向かう」と言葉を返した。
この場に止まり続けてま仕方がないからな。戻ってこないのであれば、俺たちで女王の元へ向かうしかない。
廊下を少し早歩きで進み、王の間へと向かっていく最中。一体何があったんだと、不安と面倒な気持ちで頭が侵食されていく。とても不愉快な気分だ。
「どうせまた国王が余計な事をしたんだろ」
「その可能性が高いわね。…はぁ、失礼を承知で、もう一度ガツンと言ってやろうかしら」
俺とアカリでそんな話をしていたが、パンプキンは相変わらず俯いたままだ。
こんなイレギュラーな状態になったのだ。先程よりも緊張がより増してしまったのだろう。
気の毒に思いながらも先へと進み、ようやく王の間が見えてきた。




