第五十七話①
「先ずは……「お疲れ様でした」とでも言うべきか?」
「私に聞かないでよ。でもまぁそうね……ひとまず、みんな、お疲れ様。大変だったけど、皆んなでこうしてまた集まれてよかったわ」
アカリの言葉に、この場にいたもの全員が同意を示す。
あらゆる事が起きたが、ひとまず皆がこうして、無事に集まる事が出来たのは素晴らしい事なのだと思う。
まぁ俺がこの作戦にいた時点で、こうなることは確定していたのだがな。
「皆さんのおかげで、パンプキン通りの件もいい方向に進みましたし、本当に感謝しています。皆さんがいなければ……今頃国王様達によって、通りは滅ぼされていたでしょう……」
「そもそもの話、女王の私がもっと早く事態に気がついていれば良かったのですが……申し訳ないです」
「何をおっしゃいますか。女王様は難しい立場でありながら、通りの為に動いてくれたではないですか。私はとても感謝しています。勿論、マヤトさんとアカリさんにも、現しきれない程感謝しております」
そう言いながらパンプキンは深々と頭を下げる。
俺がいなければ大衆を味方につけることが出来なかったのは確かだからな。感謝されるのも無理はない。
そのように俺が調子に乗っていることに気がついたのか、アカリが鋭い視線を向けてくる。
「大衆を味方につけたのは非常に大きいことだと思います。今後、皆様と協力して通りを維持できれば……」
「そうだな、そうすればある程度は安泰だろう。あの馬鹿な国王が今後どうするかがわからないのが、少し気になるがな」
「それなら安心していいと思うわよ。国王様、案外話しのわかる方だったし」
アカリの発言に、皆は不思議そうにした態度を見せる。
「何だお前、まるで国王とあったかのような。……何なら話したかのような口ぶりだが」
「その通りよ。昨日、マヤトを探している途中に国王様と出会ってね。少し会話したの」
「会話? 俺を探さずにあの馬鹿と話していたのか?」
「失礼ね。貴方を探している最中に、呼び止められたのよ。それで仕方なく話したの」
呼び止められたまではわかるが、あの国王が侵入者をこの城から追い出さなかったことに違和感を感じる。
国王なら、侵入者を見つけた瞬間に大騒ぎで兵士を呼び出す筈だ。
案外冷静に対処できるところがあるのか。そんな疑問が頭をよぎる。




