第五十六話②
「私のせいで、随分と皆様にはご迷惑をおかけしてしまいましたね……」
「パンプキン、お前に非はないだろ。あの女が余計なことさえしなければ……。それに、アイツが動いた原因は俺にある、攻められるのなら俺であるべきだ」
結局、面倒事を起こしていた犯人は王国騎士長であり、奴の目的は俺だったのだ。今思えば、兵士を動かしていたのも、俺たちを城の内部へと誘い込むための罠だったのだろう。
本当に、よくやってくれたな……。
「珍しく庇うのね。まぁ全てその通りだから、格好良くはないけど」
「いえ、何もマヤト様の責任ではありません。マヤト様もパンプキン様と同じく、被害者です」
「流石女王だな、器がデカい。アカリは女王を見習うんだな」
「うるさいわね。……まぁ兎に角一件落着なわけだし、ひとまず今日は休みましょうよ」
既に日が暮れてきている。アカリの言う通り、ひとまず問題は解決したのだから、今日は休むべきだろう。
少なからず勝利の喜びを共有したい部分もあるが、それよりも今は休みたいしな。
――
結局、俺たちは城の中で秘密裏に部屋を貸してもらうことにした。今日はここでの休息となる。
パンプキン達とは後日、ことの詳細を話し合うことになっている。
「もう慣れてきたけど、またあんたと同じ部屋なのね」
「何か不満か? ベッドがあって、無駄に煌びやかな装飾品もない部屋となったらこの部屋しかなかったんだ。我慢しろ」
「もういいわよ別に。ベッドも2つあるわけだし」
相変わらずツンツンとした態度をとるアカリに疲れつつ、俺はベッドに横たわった。
今日一日の疲労が一気にベッドの下に抜けていくのと同時に、今日あった事が一気に脳内を駆け巡った。
城を目指して走り、城についた後も通信の途絶えたパンプキンを探して回り、次に王国騎士長を探して回り、そしたら探していた王国騎士長に攫われて、仲間になろうと脅迫まがいなことをされる。
1日があまりにも濃すぎた。1週間ほどに分けて訪れてほしいイベントだな。
俺は大きくため息を溢す。
「随分と疲れたみたいね」
「当たり前だ。お前は疲れていないのか?」
「まぁそうね……疲れはしたわよ。ただ、パンプキンさんも救出出来たわけだし、通りに訪れる脅威も無くなったから……スッキリした気分の方が濃いわね」
「そういうものか。……ただ気に入らないのは、俺たちが戦闘用に見つけ出した場所が何の意味も為さなかったことだ」
「そうね……せっかくあんなに苦労して見つけたのに。いや、使い道ならあるかもしれないわ」
何かを思いついたような態度をアカリは見せたが、それはまた後日話すとのこと。
少し気になりはしたが、お互い疲れを癒すために、ひとまず休息を取ることにした。




