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第五十三話③

「パーティ解消の申し出? そんな事するわけないでしょ。私は仲間を裏切る程、腐った人間じゃないわ」


 思わず感動で胸が締め付けられた。

 まさかパーティは解消しないと、即答してくれるとは思っても見なかった。悩んだ末に、断るものだとばかり思っていた。


「何故ですか? 正直私は、この男が力を持っているから仲間になりたいだけで、その他はクソだと思うのですが。まぁ、からかい甲斐があるというか、変にプライドが高いところは面白いと思いますが」

「それにはある程度同意するわ。プライドが高い上に、この歳で厨二病。イタさを混ぜ合わせたら、このような男が出来るのでしょうね」


 何だ何だ? 何故俺はここまで罵倒されているんだ?

 2人とも俺の仲間になりたいといった話だった筈だが、まるでその対極のような会話をしている気がするぞ。


「では何故ですか。やはりこの男の力が目的ですか?」

「力……力ね……。始めはコイツの力をきっかけに仲間になったのかしら……いや、それは違うわね。利害の一致、ただそれだけかしら」

「利害の一致……でしたら、貴方の目的を私が代わりに叶えて上げましょう。そうすれば、マヤト殿と共に冒険する理由もなくなる筈です」

「何を言ってるの? 私が言っているのはきっかけであって、別にコイツと仲間で居続けたい理由じゃないわ」

「ならば、今も尚仲間で居続ける理由とは何ですか?」

「そうね……気が合うんじゃないから。価値観だとか考え方というよりも、人間の底にある芯のようなものが一緒なのよ」


 アカリの発言に共感したと同時に、何とも小っ恥ずかしい気持ちになった。

 アカリは以前から友や仲間に対して、このような対応を繰り返していたから、こんな事を恥ずかしげもなく口に出せるのだろう。

 だが俺は違う。今まで友など出来たことのない俺は、こう言った風に言ってもらえることに慣れておらず、アカリの発言を聞いて、ただ照れてしまい俯くしか出来なかった。


「ちょっとマヤト。今のは別に嘘じゃないけど、調子にのらないでよね」


 調子になんてのるか。一昔前のツンデレヒロインのような口振りをしやがって。

 そうは思っても、不思議と今までとは違い、あまりアカリのこう言った罵倒混じりの発言に怒りを感じなかったのが、尚のこと恥ずかしく思った。

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