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第五十話③(アカリ視点)

「国王になって初めての事だ……ここまでの無礼を働かれるのは…」

「貴方が成長できないのはそれが原因かも知れないわね。結局、貴方の愚行に意義を申し立てれる人がいなかったから、現状の様な姿に陥ったのよ」


 国王は深刻そうな顔をしながら俯いた。

 怒っている様子ではなく、寧ろ自分の不甲斐なさに嫌になっているかのような、そんな悲しみを抱えた表情を浮かべている。


「ならばわかった……お主の様にハッキリと言って貰わねば我は気付けないみたいなのだ。だからお願いだ、今から私はどう動くべきなのか、何か案をくれないか?」


 そう言って国王は深々と頭を下げた。

 以前の国王では到底あり得ない行動に、私は動揺しながらも少しばかり感心してしまった。


 怒りに身を任せてしまう愚かなところはあれど、それをしっかり自分の落ち度だと理解を示し、そしてそれを改善するために目下の者にも頭を下げる。

 国王としてどうかなどは、一般市民として育った私には分からないが、人としては良い行動をしている様に思えた。


「頭を上げてください。国王相手に無礼な事を言ってしまった手前、その願いを断るつもりはありません」

「敬語は結構だ。先程の様に強く言ってきてくれ、でないと我は変わらないままだ」

「……わかりました。では無礼を承知で先程の態度のまま、私が思いつく範囲で現状の解決案を提案させていただきます」


 私は咳払いをして勢いづけた後、国王に自分の思うところを全て吐き出した。


「現状では、国王のイメージは最悪なので、そもそもパンプキンさんと対話する事は難しいしょうね」

「ならば一体どうすれば……先程の提案の様に、その他に力を割くべきなのか?」

「本来ならね。だけど今は貴方にとって、ある意味都合のいい状況になっているわ」

「というと…それは何だ?」

「パンプキンさんは今、とある人間に捕らえられているわ。それを何とか救い出して、恩を売りながらも、国王の評判を上げていくのよ」

「な、Mr.パンプキンが捕まっているというのか!? あのダークすらも討伐して見せた男が……一体どうして」


 私は国王に、パンプキンさん捜索に協力してもらう事にした。

 元は敵だと思っていた国王だが、寧ろ話してみれば案外話のわかるやつだと気がついた。

 この調子だと、パンプキンさんともある程度上手く対話出来る筈だ。


「落ち着いて下さい。何も殺されたわけではないのですから」

「落ち着いていられるものなのか? あのパンプキンだぞ? 彼を捕らえれる者に、我々は敵うことが出来るのか…?」


 パンプキンさんとも上手くやっていける、その様に考えたから今回のパンプキンさん救出に協力をお願いしたわけだけど、国王は思っていたよりも動揺してしまっており、何だか先が思いやられてしまう結果となってしまった。

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