第四十八話② (アカリ視点)
長い廊下をひたすらに進み、そろそろ眩しく鬱陶しいこの環境にも慣れてきた頃、何処か広い空間に辿り着いた。
思い返して見れば、元は王国騎士長を探して広間を目指していたわけだが、ここがその広間なのだろうか。
そうだとすれば、この近くに王様がいることになる。
王国騎士長が犯人であることが確定した今、そしてその王国騎士長とマヤトが姿を消した今、王様のことなどどうでもいいことだ。
私は広間を後にしようと、後ろへ振り向いたところで、出来れば出会いたくない人物と向かい合ってしまう。
「貴様……このような場所で、何をしておるのだ?」
バルサッツ王国の国王であり、あまりに愚かな人物がそこにはいた。
相変わらず派手派手な服装を身に纏い、胸を張って偉そうな態度をしている。
だが私が見た時よりも、明らかに顔がやつれている。
パンプキンが悪の長であるダークを討伐した際に、国王はすっかり指示を減らしてしまい、それで落ち込んでいるのだろう。
そもそも目の敵にしていた者が脚光を浴びるというのも気に食わないのだろう。
そう思えば、この現状は少しばかりざまぁみろとも思う。
私はこの場に迷い込んだ一般兵だと伝えた。
この国王相手だから、仮に騙せたとしても、「迷い込んだ? この無礼者が!」と怒りを見せてくるかもしれない。
本当に面倒だが、なるべく相手を刺激しないように、穏便に話を済ませようと、薄らと愛想の良い笑みを浮かべた。




