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第四十八話①(アカリ視点)

 突如目の前に現れた謎の女性に、マヤトが連れ去られてしまった。

 恐ら王国騎士長だろう。


 私は何も出来ずにただその様を見ることしかできなかったわけだけど、その役割を最大限発揮してみせた。


 何故だかマヤトを攫った相手は顔を隠していなかったのだ。

 まるでマヤトの驚く顔が見たいが為に、敢えて隠す事を選ばなかったかのような、堂々としたただずまいで、その行動に恐怖すら覚えた。


 だけどそのおかげで、相手の顔をはっきりと目撃することが出来たのだ。

 果たしてあの方がパンプキンさんを連れ去った一連の犯人なのかは分からないけど、兎に角今回の作戦の鍵であるマヤトを取り返さなければならない。


 考えることも大事だが、ひとまず女王様に連絡するのが先だろう。

 女王様に王国騎士長に襲われた事を伝えれば、もしかすればどこに行ったのか分かるかもしれない。

 そうなったところで、彼女が既にこの城を去っていれば探すのに苦労するのは変わりないが、それでも聞かないことには変わらない。


 私は通信魔法で女王様へと連絡を繋げる。

 だがここで、ようやく大事なことに気がついた。


「やっぱり繋がらないわね……」


 そう、通信魔法は私の魔法ではなく、マヤトが使用している魔法なのだ。

 マヤト以外の方と連絡するには、一度通信魔法の主であるマヤトを経由してから連絡を取らなければならないが、先程肝心のマヤトとは繋がらなくなってしまった。


 つまりは今、私や女王様、そして仮にパンプキンさんが通信魔法を飛ばせる様になったとしても、誰とも通信が取れなくなってしまったのだ。


 これは非常に面倒だ。

 今から私は、マヤトを探しだす為に一旦女王様を探さなければならなくなったわけだが、この広い城で見つけ出すのには一体どれ程の時間と労力がかかってしまうのだろうか。


 考えたところで明確な答えは出ないが、少なくとも疲れ切ってしまう事はほぼ確定している。

 だから面倒なのだ。


 仲間のピンチなのだから、少しは心配しろよ言われる可能性もあるが、そもそも捕まったのはあのマヤトだ。

 女神からふざけた程強力な力を授かったアイツに限って追い詰めるなんて事はないだろう。


 心配で言えばパンプキンさんの方だ。

 マヤト程ではないにしろ力を持ったパンプキンさんがやられているとなると、どの様な拘束方法されているのかわからない。


 早く探し出して上げなければ、その為にも女王様の協力がやはり必要だ。

 早く見つけ出して、パンプキンさんと後マヤトを救いださなければ。

 というより、マヤトは早く自力で出てこいとも思う。

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