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第四十七話②

「……何かもっと反応してもらえませんか? 何なんですかその顔は?」


 側から見れば放心状態となった俺に対して、不満そうにしながら王国騎士長はそう問いかけてくる。

 

「どう言ったリアクションを期待していたんだ。俺はもうこの現状に嫌気がさしててな、照れる気力もないんだ」

「いえあの……赤面してますので、照れているのだけは分かるのですが、もっと分かりやすいリアクションをして欲しいといいますか……」


 何を言っているだコイツは、俺は照れてなどいない。

 というよりも、仮に俺が照れていたとしても、コイツ相手に照れを見せているなど、認めたくはない。


「兎に角俺は、お前と仲間になる気はない。アイツと共にこの世界を冒険すると決めているからな」

「分かりませんね。貴方はその仲間とやらを特別大切だと思っている様にも思えません。寧ろ、面倒くさく思っている様にも見えます。なのにどうしてですか?」


 難しい事を聞いてくる奴だなと、余計会話が面倒に感じた。

 適当に「お前よりかは面倒ではないからだ」と答えることも、「お前と比べれば全てがマシに思える」とも答えることも出来るが、敢えてここは相手を説得するためにも、しっかりとした理由を話すべきだろう。


 ここで俺は考えた。

 アイツと共に冒険し続けるといった、そういった意志を持ち合わせている理由を……。


 ただ単に、アイツとは境遇が同じであるから行動を共にしていると言った理由もあるだろう。

 だがそれが主な理由ではない。


 ならば利害が一致しているところはどうだろうか。

 何か行動を起こすにしても、目的は同じな方が、摩擦が生まれづらいからな。

 だがそれも明確な理由ではない。


 というよりも、明確な理由なんてないのかもしれない。

 ただ、俺がアイツと共に冒険をしていたいと思えるのは、もっと単純で曖昧な、大された理由ではないとも考えられる。


 以上のことを踏まえた上で導き出された答えを、相手に伝えた。


「深い理由などない。面倒ではあるし、腹正しくもあるのも事実だ。だがな、価値観というか、性格の深淵にある核の様な物が似ているのだろう。一緒にいて、心地がいいんだ」


 これが俺の導き出した、曖昧な答えだ。

 間違っているかもしれないし、ピタリと正解を当てているかもしれないが、正解発表は存在しない。


 この場に本人がいないことを心から嬉しく思う。

 死んでもこんなこと、アイツに聞かれたくはないからな。恥ずかしいというよりも、調子にのらせてしまうかもしれないのが、嫌なのだ。

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