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第四十六③

「では次の質問です」

「少し待て、パンプキンが本当に無事なのかだけでも教えてくれ。質問に答えさせておいて、実はもうパンプキンは……なんて事になったらたまったものではないからな」

「……今教えるのはそれだけですからね。パンプキン殿は今、私の部屋で監禁しています。貴方と同じように椅子に縛り付けてです。ただ貴方と違うのは、パンプキン殿には私の血が染み付いた布を顔に巻き付けてあります」


 これを完全に信じるのは難しいが、ある程度信憑性は感じられる。そもそも、王国騎士長が本当に俺との対話を望んでいるだけならば、パンプキンを殺すなんてリスクを負う必要はないからだ。


 血の染み付いた布を巻き付けているのは、パンプキンの魔法を封じる為だろう。

 全くもって本当に、コイツの魔法は実に使い勝手がいいものだな。


「では……一旦は最後の質問です」

「ん? ……早く終わるに越した事はないが、思っていたよりも大分早いな」

「当然でしょう。私もずっとこの場にいていられるほど、時間に余裕はないのです。この部屋も実際は私が侵入していいような場所ではないのですから」


 王国騎士長とはいえ、何でも好き勝手城を利用できないものなのだなと、再確認させられる。


「では改めて、質問させていただきます。貴方と共に冒険しているあの女性について、お聞かせいただけませんか?」


 問いかけられる質問について幾つか想定していたわけだが、この質問が飛んでくるのは正直想定外であった。

 俺は今、見事なまでに呆気に取られている。


 何故そんな事を聞くのか、それを知ってどうするのか、はたまたどうなるのか。


 あらゆる疑問が俺の頭の中で立ち並んだが、その最前列にいたのは、「そもそも仲間の事を話してもいいのか」と言った、最もシンプルな疑問であった。


 問われている事は言わば個人情報であり、気軽に、誰かに対して話していいような内容ではないだろう。

 とはいえ、今は危機的状況とも捉えられる。

 この場合、仲間の個人情報を売ったところで何も問題にはならないのではなかろうか。


 …いや、そんな筈がないな。


 こう言った場面で仲間の情報を売ったやつを責めるつもりはない。ただ、俺はそれを宜しい行動だとは、もっと言うなればイカした行動だとは思わない。


 その為俺は、この際何でも答えてやろうと思っていた口を固く閉じて、王国騎士長にこの件は話さないといった、意思表示をして見せたのだ。

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