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第四十六話①

「おい……何のつもりだ? 今すぐにこの縄を解け」


 連れ去られた際の記憶はある、突如背後に現れた王国騎士長に、俺は首を絞め落とされたのだ。


 その後気がつけば、今のように見知らぬ狭い部屋の中央で、椅子に座らされて、縄で身動きが取れないほど強く縛られているのだ。


 目の前には、何やら満足そうにしながら俺を見下ろしている王国騎士長の姿がある。

 ただ、探していたパンプキンの姿は見当たらない。


 部屋は見覚えのない場所ではあるものの、壁や床の柄を見る限り、恐らく城の中ではあると思われる。


 近くに人がいれば、叫ぶ事で居場所を知らせる事も叶うかもしれないが、俺はそもそも侵入者だ。

 仮に兵士たちが俺が囚われている事を知ったとしても、王国騎士長が、「侵入者を尋問中だ」と言われて仕舞えばおしまいだろう。


 魔法を使って逃げる事もできなくはないが、相手は王国騎士長だ。魔法を使えなくする魔法を所持している彼女との戦いはなるべく避けたい。

 それを無しにしても、こんな頭の可笑しいヤツと、真剣に戦える自信がない。


「いい加減に何か話す気はないのか? どうして俺を捕まえた?」

「まぁ充分余韻にも浸りましたし、教えて差し上げてもいいですかね」

「何やら満足そうな顔をしていたが、何の余韻にも浸っていたんだかな」

「いやぁ気持ちがいいものですよ。まんまと私の作戦に引っ掛かり、貴方が私の目の前に現れてくれた、あの瞬間はね」

「言動からして、やはりお前が犯人なのか?」

「えぇ、勿論です。パンプキン殿を攫ったのも私ですよ?」


 嬉しそうに話すコイツに無性に腹が立ったが、今はまだ様子を伺う他ない。

 少しでも隙を見せた瞬間、逃げ出してやるつもりなのだ。


「あー、予め言っておきますが、パンプキン殿は無事です。ただ、貴方が逃げるだとかそう言った行動を起こした場合は、どうなるかは分かりません」


 早速脅しを掛けられてしまった。

 どうしたものか、アカリが探しにきてくれるのを待つか? いや、それは俺のプライドに傷がつくというものだ。

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