第四十五話②
着替えて直ぐに、俺たちは部屋を飛び出して王国騎士長を探し始めた。
とはいえこの城は広い、一度この城を散策した時も、あまりの広さから、未だ半分もこの城の中を見て回る事が出来ていないのだ。
そもそも一般の兵士ならば立ち入れない場所もある為、この変装では行ける場に限りができてしまっている。
「ねぇマヤト、国王の部屋が何処にあるのか知ってるの?」
「はっきりとは分からないが、大まかにならわかる。確か、女王は広間の直ぐ近くに国王の部屋があると言っていた。広間の位置は知っているからな、その周りを探せば国王の部屋の近くに行ける筈だ」
俺たちは辺りをジロジロと確認しながら、広間に向かって真っ直ぐ進んでいく。
ここからでは、歩いて10分ほどはかかる距離だ。
広間に辿り着くまでに、あらゆる部屋が目に入ってくるが、どの部屋も物置だったり、空き部屋だったりと、誰かに管理されているとは思えない部屋ばかりだ。
こんな広い城なのに対して、住んでいる者の数が少ないのか、殆どの部屋がその様な扱いになっている。
こんなにも空き部屋が多くあるのなら、パンプキンを捕らえている部屋を見つけるのは一苦労かも知れない。
殆どの部屋が使用されているのであれば、それ以外の部屋を確認すれば済む話が、これではどうしようもない。
部屋の一つ一つを見ていくとなると、とてつもない時間がかかる。
とはいえ一つ一つ丁寧に、部屋を確認して回るべきなのだろうか。いくら時間がかかるといえど、見つける為ならば……いや、だがそんなことを繰り返していれば、兵士たちに不審がられてしまうかもしれない。
王国騎士長に見つかるならまだしも、その他の者に見つかるのは不味いからな。
そんな事を考えながら先へと進むが、辺りにあるギラついた装飾品のせいで、自分の思考が纏まっていない事に気がついた。
この城は、何かを集中して考えるのには非常に不向きみたいだ。頭が痛くなってくる。
「そんなにもこの光ってる物が気になるなら、あそこの道を通らない?」
アカリは俺がこの環境に嫌気がさしている事に気がついてくれたのか、そのような提案をしながら右に曲がった道を指差した。
アカリの言う通り、その先には今まで進んでいた道と比べて装飾品の数は少なく、落ち着いた雰囲気となっている。
今まで進んでいた道のせいで、その先にある道が通常よりも暗く感じた。
だが、それに対して不気味さなどは一切感じる事なく、寧ろようやくこの環境から解放させると思い、俺は迷う事なくそちらの方へ足を進め始めた。




