第四十五話①
「王国騎士長……? 誰よそれ」
「パンプキンと俺が城に赴く際に出会った、失礼かつ頭の可笑しい女だ」
俺は彼女との間で起きた問題を、いくつかアカリに話した。
奴の魔法を使えなくする魔法の存在、アイツと一度やり合ったことなど、アイツを話す上で重要なことを伝えたのだ。
「なるほどね……確かにその人なら、パンプキンさんを捕えることも可能かも知れないわ」
「お前もそう思うか? ……というよりも、そうとしか考えられないよな」
「何でこんな重要な人物のことをもっと早く思い出さなかったわけ? 動機がわからないとはいえ、こんな人忘れられるものじゃないでしょ?」
「忘れられるものでなくても、こんな奴の事は忘れたかったんだ。頭の可笑しい奴に付き纏われるかも知れないと思って、気が気ではなかった」
とは言っても、王国騎士長のことを早く思い出せなかったのは、あまりにも痛手だ。
その事に最初から気がついていれば、話はここまでごたつかずに済んだかも知れない。
「それじゃあ早速、その王国騎士長って人を探しましょ。メイドさん、その人が何処にいるのか心当たりはありませんか?」
「王国騎士長様ですか? そうですね……いつもは、国王様の側に支えておりますが、今は国王様がそれを望んでいられない様子だったので……ごめんなさい、今何処にいるのかは、検討がつきそうにありません」
「でもいつもは国王の側についているんですよね? ……だったら、先ずは国王の部屋の近くを調べましょ」
「そうだな。いつも国王の側にいるのなら、それが叶わない今でも、なるべく離れないようにはしている筈だ……本来ならな」
そう、もしも仮にだが、アイツが犯人であった場合、国王の側にい続けているとは限らない。
パンプキンを捕えているのであれば、その捕えた場所から離れぬように身を潜めているかもしれないし、既に犯人であることがバレてしまうことを見越して、行方をくらましているかも知れない。
とはいえ、ひとまず探すのであれば、国王の側を探す他は変わりないだろう。何せ、その他に検討のつく場所はないからな。
俺たちは急いでメイドさんに、変装用の衣装として兵士の服を貸してもらい、それに着替える。
王国騎士長なら、変装していたとしても俺の正体に気がつくだろうが、今となってはそれは構わないことだ。
何せ俺たちが探しているのもまた、王国騎士長なのだから。




