第四十四話③
「直ちに城に向かうぞ。女王の部屋までのルートを辿って、城内に侵入するんだ」
「ちょっと、珍しく慌ててるけど、何かあったの?」
「城の中で女王が襲われた。詳しいことは、向かいながら話す。急ぐぞ」
街をいくら探しても見つからない事、そして今回の城内での犯行、敵は城の中にいる可能性が高くなってきた。
俺はアカリと共に城まで急いで向かい、その中で女王と通話で話した事を説明する。
それを聞くと、アカリは驚いた表情を見せた後、直ぐに考え込むような素振りを見せ始めた。
思考を一度、街から城の中へ移して、考えを回し始めたのだろう。
この状況から察するに、街に意識を逸らすよりも、城に犯人がいる事を前提で考えた方が解決に繋がりそうだからな。
女王の部屋へと辿り着いたが、そこに女王の姿はなく、メイドがその場で掃除をしていた。
「あっ! ……びっくりしました。マヤト様でしたか」
「女王は何処にいる?」
「先程、城内を見て回ると言って出ていかれましたよ。一度襲われた為、2人ほどの兵を連れていくとも言っていました」
護衛がついているのならばひとまずは安心だろう。俺たちは俺たちで、城内の捜査を始めようか。
だが、このままの姿でうろつくわけにもいかない。何か変装用の道具を……だが、変装したところで、あの頭の可笑しい王国騎士長などには見つかってしまうからな。
………………。
少し待て、今回の件の容疑者として、最も適任の人物がいるじゃないか。
何故こんな人物が頭から抜け出ていたのだ。
いや、理由は明確だ。動機がわからないんだ。
とは言え、動機以外の条件はいくつか当てはまっている。
「犯人の候補が見つかったのかも知れない」
「え? 何がどうして、急に……こんな何もない、パッとしないところで思い出させないでよ」
「そうだな……あまりにドラマ性に欠ける。ただ、この城で捜査をしていた時のことを思い出したんだ」
「この城でって……通りを救う為の手がかりを探していた時の話?」
「あの時、俺はある人物と出会った。そいつは魔法を封じる力を持っている為、パンプキンに勝利することも無理な話ではないはずだ。何よりも通信が行えない理由にも繋がる」
「その人は偉い人か何かなの? 兵士を動かせるって相当な権力がないと」
「そう、勿論それに該当する、ある意味、兵士の最も上の立場にいるもの……王国騎士長だ」




