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第四十四話①

 腑に落ちない部分はあるし、何よりも今話してもらった内容だけで、ここまで事を肥大化出来るとは到底思えない。

 ただ、事実としてそれは起きている。


 アイツが話した内容が正しいのか、それ以外にも何らかの悪役令嬢としての才が働いたのか。

 魔法とは違った原理が故に、俺は非常に興味がそそられていた。


「何よ黙り込んで、理解したの?」

「あー……大体な。兎に角俺たちも探すとしようか」


 結局パンプキンは何かに巻き込まれたのだろうか。

 まだそこは、一応ではあるが不確定だ。案外寝ているだかなどならよっぽど良いのだが、そんなことを思い、似た様なことを口にする。


「仮にパンプキンに何かあったとして、それは何だと思う? 捕らえられているだとか、戦闘不能にされているだとか……案外、ただうっかり連絡が取れていなかったというオチならいいのだが」

「残念だけど、その確率の方が低いでしょうね。パンプキンさんが通りのことを1番考えている。その為に命を賭ける勢いで行動しているんだから、そんなミスする筈がないわ」


 それは俺も理解している。あのパンプキンに限って、通信に出遅れるといったミスは先ずしない筈だ。

 ただ、仮にパンプキンが何者かに捕らえられているとすれば、それはパンプキンよりも強い者がこの街にいるということになる。

 

 そんな事、あり得るのだろうか。


 パンプキンとは本気ではないとはいえ、やり合った中だ。アイツが簡単にやられるとは思えない。もしやられてしまったのであれば、相手は相当な強者だということになる。

 

「面倒だな……出来れば街のもの達よりも、俺たちが見つける方がいいのだろうが、果たして可能なのか」

「分からないけど、頑張る他ないわ。もし街の人が見つけてくれたとしても、その人にも危害が及ぶかもしれないんだから」

「何だ、それは理解していたのか?」

「当たり前でしょ? ただ、話がここまで広がった以上、仮に犯人がいたとしても、そんな目立った行動は取れないとも考えたわ」

「一理あるな。この街は現状、パンプキン捜索のための舞台と化している。そこで下手な動きを見せれば、一瞬で足取りを掴める様になるからな」


 だからといって、安心はしてられない。

 その為に今も尚、面倒臭さがりながらも2人で走っているのだ。

 橋の下や裏路地、本来人が行き来しないであろう場所を中心に探していく。

 だが、何一つとしてパンプキンの手がかりは掴めないままでいた。


 昨日別れた時から、パンプキンとは連絡を取っていない。一体いつから、連絡が取れない状況になっていたのか……考えてどうにかなる話ではないが、何とか手探りで思考を巡らせていく。

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