第四十三話②
暫くして、ようやく城の姿が見えてきたが、今も尚パンプキンとは連絡が取れておらず、不安は積もるばかりとなっていた。
「すみません。少しお話し宜しいですか?」
城まで後少しのところで、アカリは通りすがりの婦人達に声をかけ始めた。
何やら楽しそうに会話をしていた婦人達だったが、アカリの丁寧な態度を見て、話を切り上げてこちらに返事を返してくれた。
「どうかしたの? 私たちに何かようかしら?」
「それが……ある人物を探しておりまして」
「あら、どんな方なの? 私たちで力になれるかしら?」
「その方は、先日この街で活躍したパンプキンと呼ばれている者なのですが、ご存知ありませんか?」
「あら、パンプキンさん!? 貴方達パンプキンさんの知り合いなの!?」
パンプキンという名を聞いて、途端に婦人達は上機嫌となり、アカリの元へ詰め寄り始める。
どうやら先日の一件以来、想像以上にパンプキンの支持は上がっているみたいだ。
パンプキンと面識があるものというだけで、アカリはまるでアイドルかのような扱いを受けている。
これなら、パンプキンの事を上手く聞き出せるかもしれない。
「それが、本日パンプキンさんと会う約束をしていたのですが、時間になっても集合場所にはやってこず、家に赴いても見たのですが、姿が見当たらなかったので、何だか心配になりまして……」
通信魔法で連絡が取れないとは言えるはずもない為、アカリはこのような伝え方をしたのだろう。
実に良い選択だといえるが、肝心の相手の答えは良いものではなかった。
「それは確かに心配ね。でもごめんなさい、私たち、あの日からパンプキンさんを見ていないのよ」
「私もよ、またお会いしたいのに、なかなかお目に掛かれなくて」
これはどうやらハズレのようだな。
少しの目的情報どころか、あの日以来見ていないとなると話にならない。次を渡るほかないだろう。
だがアカリは引かずに会話を続ける。何が目的なのかと思った矢先、彼女はこのような提案を始めたのだ。
「皆さん、パンプキンさんの言わばファンなんですよね?」
「えーそうね。私たちはもう、パンプキンさんの虜になってしまっているわ」
「でしたらそんな皆様に、パンプキンさんを探すお手伝いをお願いできないでしょうか?」
「私たちが? でも私たちは部外者だし……」
「そんな事はありません」
戸惑いを見せる婦人達に、アカリはグイグイと意見を述べ始める。
「パンプキンさんの身に何かあれば一大事です。もしもパンプキンさんを見つける事が出来れば、きっと喜んでくれる筈です。部外者も何もありません。『ファンが心配して探しにきてくれた』その事実だけで彼はお喜びになる筈です」
何とアカリは婦人達に協力を求め始めたのだ。
何をやっているのかと思って、半分程馬鹿にして見ていたのだご、婦人達からその話はみるみるうちに街を駆け巡っていき、気がついた頃にはパンプキンの大捜索が始まってしまっていた。




