第四十三話①
「どうかされましたか?」
「いや、進展の方はどうかと思ってな。こちらは戦闘に備えて適した場所を探し出していたが、そちらは何かわかった事はあるか?」
「お伝えづらいのですが、実はまだ何も……」
それもそうか、成果があれば連絡をしてくる筈だしな。
「それでは国王の調子はどうだ? まだ部屋に籠っているのか?」
「それが先程部屋から出てきまして、落ち込んだ様子で玉座にじっと座っています」
部屋に篭っているよりも、表にいる方が監視も出来るしいいだろう。
ただやはり女王の話を聞く限り、今回の件に国王は絡んでいないのかもしれない。
一旦は国王である可能性は除いて、話を進めた方が良さそうだ。
「そうか、現状はわかった。それともう一つ聞いておきたいのだが、パンプキンが今何をしているのか知っていたりしないか? 連絡が取れなくてな」
「パンプキンさんとは、皆さんと別れた際から一度もお会いしていないので……申し訳ないですが、存じ上げないです」
そうとなると困ってしまう。
というよりも、少しばかり焦りを感じ始めてしまう。
犯人探しの途中に行方をくらます。映画やドラマなどでは既に仕留められている展開だ。
もしかしたら、パンプキンの身に危険が迫っているのかもしれない。
「わかった。引き続き捜査を続けてくれ、パンプキンはこちらで探しておく」
「はい……わかりました。何か進展があれば教えて下さい」
通信は終わり、俺はアカリに目線を向ける。
「進展はなく、パンプキンの事もわからないみたいだ」
「それじゃあどうするの? パンプキンさんを探しに行く?」
「そうだな。パンプキンを探すにせよ、犯人探しをするにせよ、どの道城の方へ向かわなければならない。城へと向かいながらパンプキンへの通信を続けて、そのまま繋がらなければ、城に到着次第パンプキンを探し出す」
「わかったわ。兎に角急ぎましょうか」
俺たちは先程よりも駆け足で城へと向かい始める。
休息もとらず、ただひたすらに歩き続けているのだ。
俺もアカリも口に出さないまでも、パンプキンの身に何か良くない事が起きている気がして、気が気ではいられず、こうして焦りを見せているのだ。
「後城まではどれくらいだ?」
「まだ城は見えないけど、もう後1時間もかからない筈よ」
どれ程急いでも、城に到着する頃には昼を大きく過ぎてしまいそうだ。




