第四十二話③
「ここならいいんじゃない? 人の姿は見当たらないし、何よりもこの場で誰が暴れようと、文句を言う人はいないだろうし」
「確かにな。ここ程いい場所はないだろう。俺たちの為に誰かが用意してくれたと言ってもいい程都合がいい場所だ」
改めて辺りを見渡すが、栄えている場所と大きく違って、あまりに薄暗い雰囲気かつ薄汚れている。
パンプキン通りを攻める前に、こちらの整備をするべきなのではとも考えたが、馬鹿な国王は「自国の土地などいつでも整備出来る」とでもいいそうだ。
直接話したわけでもないのに、再び王に対して腹が立ってくる。
だがそこじゃない。問題点はそこではないのだ。
「何よ? 何処か不満そうだけど、何か問題でもあるの?」
「先程考えてみたのだが、犯人を見つける事が出来たとして、そしてその後戦いを始めるとして、こんなところまで来てくれるのか?」
「……そうね。人質でも取ればいいんじゃない?」
「どちらが悪かわからなくなってしまうぞ」
アカリも俺の話した事は考えていなかったみたいで、ふざけた事を言い始めた。
ただ、目的である人目のつかない場所を見つける事は出来たのだ。
必要になった時に使える知識を獲得したわけだから、ひとまずよしとしよう。
「それでどうする? 目的は達成したわけだし、早速犯人探しを手伝いにいくか?」
「うーん、賛成だけど、ここから城まではまた半日程かかるわよ?」
「……休み休み向かうか」
全く持って緊張感のない行動をしてしまっていることに罪悪感を感じつつ、俺とアカリは適度に休憩時間を設けながら城へと向かい始めた。
歩いてはカフェにより、歩いては雑貨屋さんに足を運ぶなどを繰り返しているが、これではただの観光ではないか。
「ひとまず…2人に連絡をとって現状を確認しよう。人目のつかない場所を見つけた事も報告しとくべきだろうしな」
「大した事をしていないのに焦りを感じ始めたのね。まぁ連絡は任せるわ」
アカリの嫌味なセリフを無視しながら、俺はパンプキンに通販魔法を飛ばした。
だが返信が帰ってこない。
こんな事は初めてだ。今までは直ぐに返事が帰ってきたのだが、何か事情があるのだろうか。
「どうしたの?」
「いや、パンプキンと繋がらないんだ。どうしてしまったんだ?」
「気にはなるけど、ひとまず女王様に連絡してみたら? その間に返事があるかもしれないし」
それもそうだなと思い、女王に連絡を入れてみる。
パンプキンと近いところで行動している女王なら、もしかしたらパンプキンの動向を知っている可能性もあるから、ついでに聞いてみようとも考えたのだ。




