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第四十二話②

「話を戻すが、お前は誰が犯人だと思う? 城に潜入したことがあっただろ、その時に怪しい人物に会ったりしていないか?」

「怪しいとかの話をするなら、どう考えてもあの王様が一番じゃない?」

「それは共感する……だが、女王が言うには国王は特に動きを見せていなかったらしいからな。誰かに指示を出す類の優れた魔法を持つようにも見えないし、今回は容疑者から外してもいいかもしれない」

「だとしたらわからないわね。皆目見当もつかないわ」


 アカリはコーヒーに砂糖を何粒も入れながら、そのように会話を続ける。


「貴方はどうなの? 誰が犯人なのか、見当はついてるの?」

「いや……俺もアカリと同じく、見当はついていない。だが、兵士を動かしていたと考えると、やはりそれ程の権力者……王族や貴族などが有力だとは思うのだが」

「兎に角わからないことには代わりないわね。ひとまず王国周りの権力者を中心に捜査してみましょ。女王様がしてくれている事と被るかもだから、なるべくあの人が調べていないような人を調べましょ」

「平然と言っているが、権力者に接するのは至難の業だぞ。護衛がついているかもしれないし、何よりも上にいる者として警戒心が強い筈だ。犯人かどうかは置いといて、俺たちの話など聞いてくれるか?」

「…それはそうね。兎に角、今は話しがまとまりそうにないわ。何か思いつくまでは最初の目的である人目のつかない場所を探しましょ」

「そうだな…今はそうする他ないか」


 ようやく話がまとまり、俺たちは再び南に向かって進み始めた。

 既に街の南の果てが見えてきた為、この付近で人目のつかない場所を探すのが良さそうだ。

 だがよく考えてみれば、犯人を見つけたとしてこんなところまで誘き出すことは出来るのだろうか。

 城からだと、ここまで歩いてくるのに半日はかかる。

 そんなところまで、犯人が自分から向かうとは考えにくい。


 もしかしたら、俺は今物凄く無駄な事をしているのか?


 そんな事を考えていると、突如家などが一つも経っていない開けた土地を見つける。

 辺りを確認すると廃墟などが立ち並んでおり、ここには元々家などが建ってあった後があるのがわかった。


「何処を見ても廃墟ばかりね…まぁ、この付近には何もないからでしょうけど」

「そうだな。この街に住んでいる住人は、栄えている場所まで半日もかかる場所に住もうとは思わないのだろう。俺たちがいた世界とは違い、車や電車などの交通手段もないわけだしな」

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