第四十一話②
「それじゃあ、そろそろ寝ようかしら。またクタクタだしね」
「あ? 今から転生者同士の会話を広げていくんじゃないのか?」
「何それ? そんなのまた今度でもいいでしょ? どうせ今後も一緒にいるんだろうし」
そう言われて仕舞えばそうだなと思いつつ、これから話そうとしていた事が話せなくなった事に意気消沈する。
まぁ無理に話すこともないか。俺自身も、かなり疲れがきている。今のうちに眠っておかなければ、朝日が次第に出初めて、嫌でも目覚めてしまうだろうからな。
「では眠るが…落ちるなよ? お前が落ちれば骨折では済まないかもしれないからな」
「わかってるわよそんな事、私をドジっ子キャラか何かと勘違いしてない?」
している筈がない。彼女はそれの対局にいるような存在だからな。
少しばかり時間が経ったが、俺はまだ眠れずにいた。
前から思っていたが、俺はどうやら慣れない環境かでは、直ぐに眠る事が出来ないらしい。
まだ小一時間は眠れそうにないだろう。
だが少し前から、アカリから寝息が聞こえ始めた。 いびきとまではいかないが、余程疲れていたらしく、強めの鼻息を鳴らしながら眠りについている。
明日、この件についていじってやろう。
そんな事を考えていると、アカリが徐々に屋根から滑り落ちている事に気がついた。
バッと手を伸ばして、危うく落ちそうだったアカリの腕を掴む。
アカリは何が起きたのか気がついたかのようにしながら目覚めて、俺の腕を掴んだ。
「な、…落ちかけたって事よね?」
「見ての通りだ。お前はドジっ子キャラなのか?」
「違うって言ったでしょ。…まぁでも助かったわ」
そう言って元の位置へと進んで、再び先程のように横になる。
だがアカリは何処か落ち着かない様子だ。
落ちかけた事がきっかけで、少しばかりここで眠るのが怖くなってきているのだろう。
再び少し時間が過ぎたが、寝息は聞こえてこない。
どうやらやはり、眠れなくなってしまったらしい。
「マヤト、起きてるわよね」
「何で起きてる前提なんだ。起きてはいるが…どうした? ビビって眠れないと泣きつきにくるのか?」
「…馬鹿にしてるわね。そんなんじゃないわよ。ただ、屋根が固くて眠れないの」
「先程眠っていた気がするが…あれは気のせいだったのか?」
「それはそうでしょ。気のせい以外の何者でもないわ。だから何か手伝いなさい」
「手伝うといってもだな…どうすればいい」
そう言ってる最中に、ゆっくりとアカリはこちらへと向かってくる。
何をするのかと思った矢先、本当に何をしているのかと言った行動に出たのだ。




