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第四十話①

「と、いう状況だ。理解したか?」

「理解はしたけど……飲み込みたくはない話ね。まだやる事が残ってるなんて」


 後からこの部屋に辿り着いたアカリに現状を説明すると、予想通り曇った顔を浮かべた。

 それもそうだろう、何せ作戦は成功に終わったというのに、まだ続きがあるとしれば、誰だって萎えてしまうものだ。


 それも次は敵が誰なのかも、目的も、何もかもがわからないのだ。

 一体どうしたものか……。


「ねぇマヤト、貴方の魔法でどうにか犯人を見つけ出せないわけ?」

「俺の魔法を忘れたのか? 出来るに決まっているだろ」

「……そうね、質問を間違えたわ。その魔法を、使用するつもりはないの?」

「それは……あまりに物語がつまらなくならないか?」

「本来なら、既に完結している物語でしょ。今は、それを何者かによって邪魔されている。貴方はそれを見逃すわけ?」


 その考えも間違いではない。

 これは言わば、必要のない延長戦だ。このままぐだぐだと続けたところで何の意味も持たないだろう。

 

 だが、ここで魔法を使用して仕舞えば、今後何かに躓いた時、同じような危機に遭遇してしまった時、俺はまた魔法に頼ってしまう。

 

 自身が使用して楽しむ事が出来る戦闘魔法ならまだしも、思考をやめて、ただ魔法を使っているだけでは、まるでこの世界の問題を解決する為に存在する、ロボットの用ではないか……。


「マヤトは、戦闘魔法なら使えるのよね?」

「あー、お前に言われている通り、強大な魔法でなければいつでも使用できる様にしている」

「ならわかったわ。犯人は私達で見つける、だから犯人が分かり次第、あんたの魔法で倒すなり脅すなりして解決してちょうだい」

「……お前にしては強引な発想だな。何か急ぎの理由でもあるのか?」

「私は早く問題を解決して、ゆっくりとパンプキン通りを楽しみたいの。こんなに長々と作戦を続けるつもりなんて、最初はなかったのよ」


 アカリは随分とご立腹の様子だ。

 女王とパンプキンも今の話を聞いていたが、特に話に割り込もうとはしてこなかった。特に異論はないのだろう。


「私たち3人が束になって捜索すれば、案外直ぐに犯人を見つけ出せるかもしれません」

「女王である私は城の内部を探り、支持を得ているパンプキンさんは、国民に探りを入れる」


 本来は敵を刺激するだけになってしまいかねないが、今回は別に、刺激しても構わないのだ。

 刺激して俺たちの前に立たせて、俺がそいつらを制圧する。今回は別に、民衆に支持を得るなどと言った作戦は含まれていないのだ。

 ただ単に俺個人が、気に食わない奴をやっつけた。その事実しか残らない。

 

「そして私は……そうね、マヤトに着いていくわ」

「ん? それはどうしてだ?」

「勝手な行動をしないように見張っとくのよ」


 俺は一体何処まで馬鹿にされているのかと思ったが、よく考えて見れば、単にアカリは自分のやる事が見つからず、また暇になってしまいそうになった為に俺に着いていく事にしたのだろう。

 

 それならばそうと言えばいいのだが、言わないのが実に彼女らしい。

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