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第三十九話②

「な、何だよいきなり!」

「そうよ、城の前にいたのは悪かったけど、そこまでする必要ないじゃない!」


 国民達は兵士たちの行いに異議を申し立てるが、兵士たちはそれに聞く耳を持たずに怒号を続ける。


「いい加減にしろ! 斬りつけられたいのか!!」


 そう言って兵士の1人が大きく剣を振り翳した。

 その剣は直ぐそばにいた民衆の服を斬りつけてしまい、沈黙が訪れる。

 そして誰かがその場を離れた瞬間、皆は恐ろしくなったのか、慌ててその場から逃げる様に離れ始める。


 兵士から言わせれば、ようやく追い払うことができたと、達成感を得ていてもおかしくはないのだが、むしろその逆の反応、罪悪感に押し潰されそうになっているのか、冷や汗を流しながら涙を浮かべていた。


 その混乱に乗じて俺は城を離れたわけだが……何だか嫌な予感がする。いや、予感よりももっと明確な、確信に近い何かを感じるのだ。


「え、えーと……聞こえていますか?」


 するとここで、女王からの連絡が入った。

 先程まで国王の様子を見ていると言っていたが、何かあったのだろうか。


「どうした、何かあったのか?」

「何かあったというよりも、何も起きない為連絡させてもらいました。あの人は暫く何も動く様子を見せず、そのまま自室に戻っていったのです」

「そうか……本当に何もしていなかったのだな?」

「えぇ……どうしてですか?」

「こちらで妙な事が起こったんだ。兵士たちが数名、城の前で談笑していた民衆をその場から離れる様に指示していたんだ」

「城の前でとなると、随分と前から注意される事はあったはずですが?」

「それは、怒号を叫びながら、剣を振り翳して脅すような真似をしてか?」

「……詳しく聞かせて下さい」


 そうして俺たちは、一度会って話すことになった。

 それに伴い、全員が一度女王の部屋に集まり、再度現場の確認と報告をする事になったのだ。


 先ずはアカリに、そして次にパンプキンに連絡をした。

 アカリは直ぐに向かうと言っていたが、パンプキンは既に向かっていると、可笑しなことを言っていた。


 兎に角気になる事ばかりだ。

 早く一度皆と話をして、現状の整理をしなければ、気が落ち着かない。

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