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第三十八話② アカリ視点

「兎に角警戒は怠るな。兵が通りを襲わないとは、まだ決まったわけではないからな」

「……わかったわ。だったらひとまず、王都内の店で休んでおく事にしようかしら……? 追って連絡してちょうだい」

「俺が攫われている間に…気楽なものだな」

「私はやることが終わったわけだし、別にいいでしょ?」

「まぁいい好きにしろ……ただ、女王にも念のため王を監視する様に伝えてはいるが、万が一に備えて、お前も何か不審な姿を見せる者がいれば、直ぐに連絡を寄越せ」


 その様な会話を最後に、通話は終了した。

 

 パンプキンさんは未だに国民や兵士に囲まれている。

 もう少しすれば。パンプキンさんも通りに戻るかもしれないが、今は不自然に近づかない方がいいだろう。

 もしも仲間だと思われれば、どう言った関係なのかと問いただされるかもしれない。

 ただの友達で済めばいいかもしれないが、今回の騒動が何かの拍子にバレてしまう可能性も捨てきれないからね。


 私は適当な店に入り、店内を見渡すが、お客さんどころか店主すら見当たらない。

 よく考えてみれば当たり前のことだ。

 国民は今、殆どの人間が避難所に未だ止まっているか、パンプキンを称えているのだ。

 店に人がいると思う方が間違っていた。


 私は誰もいない店内に居座る事はできずに、その場を後にした。対してやる事も無くなってしまった為、街を見て回る。

 ドラゴンによって荒らされた跡が、所かしこに見つかり、少々マヤトはやり過ぎたのではないかと思えてくる。

 全壊している建物はざっと数十件ほどあり、半壊している民家の数は、ざっと見ても100や200では治らない。


 作戦の際には、パンプキンさんが街の復旧にも手を貸すと女王様に伝えてが、これは全てを復旧するのに物凄い労力と時間が必要になってくるだろう。

 パンプキンさんの待つ魔法があってもそれなのだから、魔法を持たないここの皆さんが治すとなったら、途方もない程の時間が必要になると思われる。


 これでまた、パンプキンさんの支持は集まると言うわけね。


 私はもう暫く街を見て回ったが、やり過ぎだと思った考えが徐々に少しではあるが薄まっていった。


 勿論、建物をここまで破壊するのは良くない事ではあるが、それでもやり過ぎない様に、ある程度マヤトも考えて行動していたことがわかった。

 先ずそれを説明する証拠として、この騒動での被害者は、どうやら誰1人として出ていないらしい。

 

 村人の話を聞いてもそうだが、これ程までに街が荒らされているというのに、死体も怪我人も、血痕の1つも見当たらないないのだ。

 さらに言うのなら、時計塔や城などと言った、この街のシンボルとなる様な建物は破壊されていない。


 マヤトは村人に恐怖を与えると言った作戦を与えられて、無作為に破壊の限りを尽くしたと思っていたが、案外考えて行動をとっていた事を知り、なんだからしくないなと、笑いが込み上げてきた。

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