第三十七話③
先程よりも強力な魔法を発動させる事で、パンプキンはようやく険しい顔を浮かべた。
だがそれでも、パンプキンは俺の発動する魔法を次々と対処していき、俺に何度も攻撃を当てる程になっていく。
これ以上魔法の威力を上げて仕舞えば、パンプキンを傷つけてしまう可能性や、最悪殺してしまうかもしれない為、威力を上げることは出来ない。
つまり、可能な限り魔法の威力を上げた状態の俺を、パンプキンは対応出来ている事になる。
パンプキン通りを収めていた、先代のMrs.パンプキンは実力者だったと聞いたが、コイツも相当な者ではないかとしみじみ感じる。
「随分と……やり合ったのです。そろそろ終わりにしましょうか」
「そうだな。薄味の戦いを続けたところで仕方がない、終わらせよう」
俺たちは互いに全力をぶつけあった。
風魔法で街全体を覆うほどの竜巻を発生させたが、パンプキンはあらゆる道具を駆使してそれを防ぎ、最終的には先程まで使用していた拳銃と比較にならないほど、重厚感のある銃を取り出して構えた。
「これで最後です」
パンプキンがそう言ったのを最後に、俺は胸を弾丸で貫かれた。
何かの比喩ではなく、本当に貫かれているのだ。
魔法で何とかなりはするが、撃たれた瞬間の痛みは感じてしまった。
痛いだなんてものではない。一生のうちに、一度でも経験して仕舞えば、拳銃の形そのものがトラウマになってしまう程の威力だ。
俺はそのまま宙に浮くのをやめて、地面へと真っ逆さまに落ちていく。
そして地面に鈍い音を立てながら、落ち切ると同時に、パンプキンがゆっくりとこちらへ降りてくる。
その中で、ドラゴンはのたうちまわりながら、じわじわと消滅していった。
影も形もなくなったところで、パンプキンは地面へと足をつける。
そして一言、「我々の勝利です」と口にした途端、兵士たちは手を挙げて喜びを見せながら、感性を上げた。
曇っていた空は晴れていき、光が城を、街を包み込む。
兵士たちはパンプキンを讃えて、建物に避難していた国民達も飛び出してくる。
皆でパンプキンに感謝の言葉をかけてながら、涙を流して喜びを現した。
あの場でムキになってしまい続けた戦いだったが、結果的にはやって良かったと心からそう思う。
あっさりと戦いを終わらせずに続ける事で、あの戦いにドラマが生まれた。それが故に、今こうして皆は涙を流しながら、パンプキンを讃えているのだ。
俺は兵士たちに運ばれながら、作戦の完了を噛み締めた。




