第三十六話②
「どういったカラクリだ? お前は飛行魔法を持っていなかった筈だが」
「見てわからないのですか? 飛行ではなく、ただ空高くジャンプしただけですよ」
地面を見てみると、大量のガラクタが転がっていた。
つまりは大量のガラクタを出す勢いを利用して、この場所まで飛んできたと言う事だ。
「なるほど、理解したぞ。今のお前に我の攻撃は防げないと言う事をな」
飛んでいる最中といった、身動きが取りにくい隙をついて俺は魔法を発動させた。
風による魔法を展開して攻撃を仕掛けるが、それも何処からともなく飛び出した石造りの壁によって、容易く防がれてしまう。
何処まで仕込んできたのかと、少しばかり俺はムキになり始めていた。
使う魔法を制限させているとはいえ、これではまるでパンプキンの方が力量が上のようで腹が立つ。
パンプキンは下に草や花など、クッションの代わりとなる様な物を大量出現させて、そこに着地してみせた。
女王を兵士へと託した後に口を開いた。
「皆さん、後は任せて下さい。この私があの悪党、ダークを討伐してみせます」
パンプキンと俺は対等にやり合っている用に、兵士たちは見えただろうが、兵士たちは少し不安そうな表情を浮かべていた。
依然として、ドラゴンは街を暴れ続けているのと、何よりも俺が少々力を使いすぎた。
兵士たちは俺と言う存在に恐怖を抱き、強大な味方が来たと言うのに、その人物を信用出来なくなっているのだ。
「彼を……信じましょう」
「女王様!」
「今は休んで下さい、話してはいけません!」
苦しそうな表情を浮かべながらも女王は話を続ける。
「彼ならば……いえ、伝説の存在であったMrs.パンプキンの後継者である彼なら、きっとあの男にも勝利出来る筈です」
「しかし……敵はあまりにも強大、それにパンプキンは通りの住民……私たちの街とは無関係な者です。何処まで協力してくれるのか……そもそも今も何故協力してくれるのかさえわからない」
「協力する事に意味なんていりません。困っているのなら助けます。……それに、同じ国に住んでいる者同士なんですから、無関係だなんて言わないで下さいよ」
この言葉に、周りにいた兵士たちは顔色を変えた。
安心したかの様な、この男を信じてみたいと思ったかの様な、まるでヒーローを目の前にした少年の様な、そんな期待の眼差しを向ける様になっていたのだ。




