第三十三話③
「どうする? 早速行動を起こすか?」
「提案した身でこんな事を言うのも何ですが、本当に宜しいのですか?」
女王は、何とも申し訳なさそうにしながら俺を見つめてくる。
そんなになるならば、こんな案は提案しなければ良いのではないかとも思ったが、逆に言えば本当にそれ以外の選択肢がなかったからこそ、こんな態度を見せているのだろう。
「勿論、簡単に「いいですよ」とは言えないが、それしか方法がないなら仕方がない。何より協力してもらってる身だからな、多少の不利益ぐらいは背負ってやる」
「ありがとうございます。作戦終了後には、出来る限りのサポートをさせていただきます」
「本当か? それは助かるな、俄然やる気が出てきたというものだ」
そのサポートやらの内容は、出来れば物品か金であれば助かると言うものだ。
協力してもらっておいて何だが、せっかくの相手からの好意を無碍にする訳にはいかないのも事実だからな。
「それじゃあ早速始めてちょうだい、私は通りにでも避難しておくわ」
「いえ……出来ればアカリさんにも協力していただきたい事がありまして……」
「あら…そうなの?」
「自分だけ楽出来ると思うなよ、お前も協力するんだ」
「そんな風に思ってないわよ。あんたみたいな役回りはごめんだけど、暇するのも嫌だしね」
俺たちはそれぞれの担当を決めながら、再度作戦について話しを重ねた。
作戦の結構は今夜、夕陽が沈み切った頃を予定している。
――
「それじゃあ作戦開始と行くか、各々持ち場につくぞ」
話し合いも終えてから数時間後、いよいよ夜もふけ始める。
皆はそれぞれの役割を全うする為、各々決められた配置に移動を開始した。
けれどそんな中、1人パンプキンが俺の元へとやってきたのだ。
「どうした? お前が一番ここから離れなくてはならないんだ。急いで持ち場に着かないと、、」
俺がそのように喋る中で、パンプキンは「ありがとうございます」と、頭を深々と下げながら礼を言ってきた。
「急にどうした。まだ作戦が成功したわけでもないんだ、礼を口にするには少し早いぞ」
「そんな事はございません。寧ろ、遅いくらいですとも……ここまで散々力を貸していただきましたが、そんな中で、あのような役を受け入れてくれるとは…感謝しても仕切れないです」
コイツの誠意は、ここまでせずとも既に伝わっている。
律儀な奴だなと思いながら会話を続けた。
「俺から言わせれば、そこまで嫌な役でもないからな。物語ではよくある展開だ。寧ろ、その役をやってみたいと思ったこともあるくらいだ。だから兎に角、気にする必要はない」
「それでも……本当にありがとうございます。この件が終わりましたら、出来る限りのお礼をさせていただきます」
「女王に続いてお前もか? ならば尚のこと、作戦を成功させなければならないな。少しばかり、頑張って見るとしよう」
そんなやり取りをした後、俺たちは各々の検討を祈りながら、それぞれの配置に着くために移動を始めた。
俺が目指したのは城の門の真正面、この街の中心地点だ。




