第三十三話②
「女王様、お初にお目にかかります。私は、通りの長をしている『Mr.パンプキン』と申します。今回は協力を受け入れてくれた事、非常に感謝しております」
「貴方がパンプキンさんですね……こちらから迎えに行くことが出来なくて、申し訳ないです」
「そんな、協力していただくだけでも有難いのです。それ以上は望みません」
女王の謝罪に、パンプキンはそのように誠意を示した返事をする。
「女王様の体調が治り次第話を始めましょう、どうやら王国は動き始めてるみたいだし」
「アカリさん……それは、何の話ですか?」
「通りでは、幾つかの偵察部隊と兵士が確認されました」
「そいつらを、パンプキンが捕らえてくれていたって訳だ。俺も5人程を相手したが、コイツが相手した数は、その比ではなかったぞ」
それを聞いた途端、女王様は疲れた顔を浮かべながらも、顔を上げて席に座り直した。
何やら固く決心したような、鋭い目つきをしている。
「そういう事ならば急がなければなりません。あの方がその偵察部隊や兵士が捕らえられた事を知れば、きっと作戦が失敗した事に腹を立てて、通りを本格的に攻め始める筈です」
「それは止めなくてはいけないな。……だが、肝心の作戦はどうする? 女王頼りで悪いが、何か思いついたのか?」
すると女王は、途端に思い悩む顔を浮かべてい始める。一体何を悩んでいるというのだろうか。
「少し言いづらい提案になってしまいます。もっと最善の策はあるのでしょう。ですが、それを思いつくにはあまりに時間が足りない」
「何でもいいですよ。私たちは、貴方を攻めたりなんてしません。それにマヤトなら、いくらこき使ってもいいですから」
「いい事など何もないがな……兎に角話してくれ、無理なら無理だとはっきり言うからな」
女王は固唾を飲みながらも、その作戦について詳しく話し始める。
それを聞いた皆の反応は統一されていた。
あまり名案とも言えないし、かと言ってこれを否定する程の変えの案も思いつかない為、皆は何処か複雑な心境を現していた。
「あまり気分がいいものではないが…嫌いな展開ではない。俺は乗ってやってもいいぞ」
「あんたはいいでしょうけどね、正直私は嫌よ。通りに居づらくなるじゃない」
「何だ、お前にとってそれは不利益になるのか?」
「当たり前でしょ! 通りのお菓子が食べれなくなるのよ! 絶対に嫌!」
アカリははっきりとそう言いきってしまった。
ならばこの作戦は、俺が中心に立たなくてはならないようだ。




