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第三十二話③

 暫くしてから、ようやく森を抜けて王都へとやってきた。

 相変わらずギラついた格好をする人ばかりで、森で薄汚れてしまった俺たちは、先程よりも人一倍目立ってしまっている。


 何とか騒ぎにならないように、目立たない日陰を歩きながら城を目指していく。


「マヤトさん、女王様は何とおっしゃっていたのですか?」

「いくつか話をしていたが……兎に角協力してくれるみたいだ。詳しい事は、また後で聞いてくれ」

「そうですか……感謝しないといけませんね。女王様にも、話を通してくれた、マヤトさんと、アカリさんにも」


 そう言った話をしながら城へと急ぎ、日が沈まないうちに城の前までついた。

 随分と時間はかかったが、予想よりかは早くついた事に安心して、俺は城を出る際に使った裏道を目指して進み始める。

 

――


 少ししてから裏道へ辿り着き、ここまで来れば安心だと思いながら裏道を進む最中、何処からかわからないが、誰かの話し声が聞こえ始めた。

 それも口論になっているみたいで、お互いが大きな声を上げながら、何かを言い合っている。


「何度も申し上げている通り、私は反対です! 何の罪もないあの通りを滅ぼすなど、人として間違っている行為だとは思わないのですか!」

「久しぶりに顔を見せたかと思えば偉そうに……貴様の意見など聞くつもりはないわ!! 既に決めた事などだ、今更変えてたまるか!!」


 声を上げながらも落ち着いた口調で話す声と、知性を感じさせない馬鹿な声……間違いない、女王と国王が話しあっているみたいだ。

 まさか未だに話を続けているとは思ってもいなかったが……どうやらやはり、交渉は失敗に終わりそうだ。

 最初から国王を説得できるなどと考えてはいなかったが、ここまで話にならない人間だとはと、呆れてため息を漏らしてしまう。


「やはり……穏便に解決する事は難しいみたいですね……」

「そうだな。残念としか言いようがない」

 

 改めて国王とぶつかることを実感した俺たちは、この後から何も会話を交わす事なく道を進んだ。

 俺と同じく、パンプキンも今後について考えているのだろう。

 

 残り数日で事態は大きく動く。

 その際に通りが残っているのか、滅んでいるのか、それは俺たちの行動ひとつで変わってしまう。


 救ってやる自信はあれど、心の何処かに不安を抱えてしまっている俺は、それを解消する為にも改めて覚悟を決めたのだった。

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