第三十二話②
すると突然、家の裏側から物音が聞こえてきた。
俺は許可も得ずに家から飛び出して、その位置へと走った。そこに何があるのか、大まかに察しがついたからだ。
向かって直ぐに裏側へと辿り着くと、そこには偵察部隊と思われる兵士と、この村を攻めてきたその他の兵士たちがロープによって縛られた状態で捕らえられていた。
数はおよそ50にもわたる光景を見て、俺はパンプキンがあそこまで怪我を負っている理由がわかったと同時に、この数を相手できるとは、やはり並大抵の力以上を持っていると確信した。
「おいパンプキン、お前は中々やる男みたいだな。感心したぞ」
「褒められるほどの事ではありません。貴方の実力と比べれば、あまりに小さな力でしょう」
「そんな事はない。比較対象が悪いだけで、お前は充分な程に強いし立派だ。もっと誇るべきだ」
生意気ながらに俺はそのようにパンプキンを褒めてみせた。純粋かつ単純に、この男を少しばかり尊敬したからだ。
通りの為にここまでやってみせるとは、やはりこの通りの物語においては、この男が主人公なのだろう。
この世界の物語の主人公として、ある程度のリスペクトを感じた。
「それではゆっくりでもいいから城へ向かうぞ。実は女王から得られるようになったんだ、状況は大きく変わる事になる」
「本当ですか? それは朗報ですね、今直ぐ向かう準備をしましょう」
パンプキンはそう言いながらゆっくりと立ち上がり、出口を向かって歩き始めた。
その速さは子供でも容易く歩いて抜かせるほどの遅さで、俺は見てられずに、この男ならばと肩を貸してやる事にした。勿論今回ばかりだ、こんな柄にもない事を今後もしようとは思わない。
「先を急ぐぞ。女王もアカリも城で待っている筈だからな」
「はい。申し訳ないですが、少しの間肩をお借りします」
俺とパンプキンは出来る限りの速さで城へと向かい始めた。
森へ入る際は、なるべくパンプキンがスムーズに進めるように、手前にある小枝などを俺が負ってやりながら、極力パンプキンの体に触らないように、急ぐとはいえ丁寧に先へと進んだ。




