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第5話 愛、そして力

 私が話し終えると、怜生は額に血管を浮かべていて、その場で立ち上がった。


「虐待しやがって…俺の結衣にいい度胸じゃねぇか…。」


そしてどこかへ行こうとして慌てて止めた。


「待って怜生!どこ行くの⁉︎」


「今の結衣の両親だよ…クズ親に一発ぶちかましてくるよ…。」


「いやいや!怜生場所分からないだろうし、そんなことしたら怜生捕まるよ!」


そう言うと怜生は玄関の扉に拳をぶつけて、冷静になった。


「そうだよな…でもどうしたらいいんだよ…!」


「何もしなくて大丈夫、私は怜生に会えただけで十分だよ。」


「でも…!」


何かを言おうとする怜生を止めるために私は怜生の脚に抱きついた。


身長差があって肩に抱きつけない、やっぱりどこか虚しい気がした。


「怜生…私はあの両親を恨んでるよ?でももう関わりたくない。これからまた2人で過ごそう?ね?」


それを聞いた怜生は完全に落ち着いたみたいで、腰を落として私に抱きついてきてくれた。


あぁ、やっぱりこれがいい。やっぱり怜生のこと好きだなぁ。


「結衣…それで良いっていうなら俺はあの両親に関わらないよ。」


「ありがとう…怜生…!」


そのまま私たちは口づけをした。怜生にとっては5年ぶりのキスだ。


少し恥ずかしくなってそれを誤魔化すかのように、


「怜生、5歳の子供にキスしたぁー、ロリコンだぁー」


怜生は顔を真っ赤にしながら


「中身は結衣なんだろ!ならいいじゃねえか!雰囲気壊すなよ!」


怜生の必死な顔と言い訳を聞いて、思わず吹いた。


それに合わせるよう怜生も笑ってくれた。


 すると、怜生のお腹からグーと音が鳴った。


「悪い、なんか安心したら腹減ったわ。」


私も、夜からというより、この体の子はまともに食べてないからね。ペッコペコだよ。

 

「とりあえず朝食作ろうか!」


そういってキッチンに行ってみるとそこは…。


大量のコンビニ弁当、空パック、缶ビールなど、ゴミが大量に散らかっていた。


怜生が焦った表情でキッチンにやってくる。


「あ、結衣!えっとこれは…!」


「怜生…?あなたまともに食事摂ってないね…?」


「いや…サラダとか食べてるし…酒は最近少なめにしてるし…。」


私は何かに勘づき、怜生のお腹を触ってみた。


「結衣!? 一体何を…!?」


怜生のお腹はポコっと出ていた。見た目では出てないけど、前はもっとシュッとして、ゴツゴツしていたはず。けど今は…。


「怜生…?」


「は、はい…。」


怜生の健康状態、家の整理整頓、乱れた服装…。


これは…ビシバシ指導しないと…。(おかんモード発動)


「怜生!朝食食べたらこのゴミの片付け!そしてその長い髪を切って!それから…!」


「帰ってきて早々勘弁してくれよ〜!」


私たちの特殊な日常が、これから始まる。

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