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第2話 輪廻転生

 「怜生…‼︎怜生‼︎」


突然、その子が俺の名前を呼びながら俺の膝にしがみついてきた。しかも涙ぐみながら、まるで数年ぶりにあったかのように。


 「えっと…ま、迷子…?どうして俺の名前を…?」


状況を理解していないけど、とりあえずその子に話しかけた。


もしかしたら偶然お父さんと同じ名前かもしれないし、聞いてどういうことか把握しなければ。


「グスン…私、結衣なの!死んだけど生まれ変わったの!」


「…???」


結衣は俺の妻で、5年前に交通事故で亡くなった。けれどそこから生まれ変わ


る?あまりに現実離れしていて理解が追いつかなかった。


「えっと…お父さんお母さんは?」


「信じてよ!私は前世は結衣で、夫でもある怜生は小さい頃からの幼馴染で、


好きな食べ物は辛いの。苦手なのはにんじん。先に洗う場所は腕。好きなエッチの体位は…。」


「わかった!わかったからもう言わんでいい!」


急に5歳とは思えない早口で俺の情報を言ってきた。これは流石に他人とは思えない…。


でもまだ信じられない。生まれ変わりが世の中存在することが理解を阻害して

いる。


「えっと、とりあえず中入って。細かく話は中でしようか…。」


「えー信じてくれてないじゃん、やっぱり好きなエッチのた…。」


「信じるから一旦中入って!」


「わーい!」


こ、こわ…でもこの雰囲気、結衣に似てるな…。


 中に入れると、すぐ結衣と名乗る子はリビングの方向に走っていった。


「あ!まっ、そこ片付いて…」


言った時には既にリビングに立っており、俺の服やら物が散乱していた。それ


を見た結衣と名乗る子は…。


「…怜生…?ちゃんと片付けてって、前に言ったでしょ!あと、ちゃんとご飯


食べてる⁉︎洗濯は?」


結衣、おかんモード…


結衣のおかんモードとは、その名の通りおかんになることだ。


 前(5年前)にもこうやって怒られてたな…。でも姿が幼いせいで、俺より


しっかりしている年下に怒られてさらに屈辱的だ。


 でも、これで確信した。この子は結衣の生まれ変わりだ。テンションが高


く、おかんっぽいところ。まさに結衣だ。


もう会えないと思っていた。けど今目の前にいると思うと、勝手に涙が溢れてきて…。


「ちょ!怜生⁉︎ ちょ、ちょっと言いすぎた?ご、ごめん…。」


「いや…結衣なんだなって…」


「…最初からそう言ってるでしょ…」


俺が泣き始めると、それに合わせて結衣も泣き始め、俺は感情に動かされるか


のように結衣を抱きしめた。5年前とは全く違う感覚だが、自然と結衣だと受け入れることが出来た。


その先はあまり覚えていない。ただ、ずっと泣いていて二人とも目が赤かった。


それを見てお互い笑いあって、日常が戻ってきた。そんな気がした。

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