第69話 初配信
【異界迷宮実況】新人LEのデビュー配信です#1【奇跡の欠片】
奇跡の欠片/Kisekino Kakera
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初見好き:待機中
初物食い:待機中
焼きスルメ:待機中
闇の屍者:待機中
迷宮管理人:待機中
初見好き:デビュー配信わくわく♪
初物食い:まだかな?
焼きスルメ:もうそろそろじゃない
闇の屍者:相変わらず素早いな、初見好きさん
迷宮管理人:そういう闇の屍者さんもね
初見好き:ほぼ、いつものメンバーw
闇の屍者:Z(旧whisper)の告知見たけど、このパーティーどうなんや?
迷宮管理人:女性5人グループらしいよね
初見好き:楽しみ♪
初物食い:可愛いといいけど
焼きスルメ:合法ロリがいい
迷宮管理人:業が深すぎるw
闇の屍者:お、始まった
『それじゃ、後はシロに任せた』
『任されました……では。みなさん! はじめまして!!』
初見好き:ん? 声可愛いくない?
焼きスルメ:声フェチにはたまらんかも
『新人探宮者パーティーの『奇跡の欠片』です。よろしくお願いします。今から探宮デビューなので、メンバー全員ドキドキですけど、視聴者の皆さん応援お願いしますね!』
初見好き:え? すんごく可愛いぞ、この娘
闇の屍者:アイドル探宮者なん?
迷宮管理人:探宮者のビジュアルは美人補正がかかってるとは聞くけど
闇の屍者:こんだけ可愛いと素も相当な美少女やろ
迷宮管理人:確かに芸能事務所のアイドルユニットかもしれないね
『え~と、ボク達は今、D級迷宮を進んでいます。モンスターと遭遇するまでパーティーメンバーを紹介したいと思います』
初見好き:ボクっ娘だ!
山田の名無し:ボクっ娘だと?
闇の屍者:ボクっ娘やないか
焼きスルメ:ボクっ娘……じゅるり(よだれ)
迷宮管理人:属性が刺さる人間が多くて草
地味変:メンバー紹介、助かります
『まず、視聴者さんの配信画面で赤色の鎧を装備している女性がいると思います。その人が『奇跡の欠片』のリーダー、守護者クラスのフレア・カーマインさんです。頼れる姉後肌で、とても凛々しくてカッコいい女性です。パーティーリーダーとして、メンバーを引っ張って行ってくれると思います。フレアさん、一言お願いします』
『あたしが『奇跡の欠片』のリーダー、フレア・カーマインだ。自分より強い相手と戦うの大好きなんで、これからガンガン戦って行きたいと思う。よろしく頼む』
初見好き:か、かっこいい!
闇の屍者:宝塚っぽいな
百合乙女:お姉さまと呼びたい
焼きスルメ:守護者ってSRじゃ
迷宮管理人:SRだね。スーパーレアクラスだ
闇の屍者:美人でSRクラス、強運やな
迷宮管理人:それになんか雰囲気があるよね、この娘
『次に紹介するのは青が特徴的な防具を装備している女性です。彼女は聖騎士クラスのラピス・ラズリさんです。沈着冷静でありながら、時に大胆な行動も取れる素敵な女性です。ラピスさん、一言お願いします』
『素敵かどうかはわからないけど、ラピス・ラズリです。沈着冷静と言うより、臆病なだけですが、このパーティーのために自分の出来る限りのことをしていきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いします』
初見好き:クールビューティー来た
焼きスルメ:委員長キャラだw
闇の屍者:どストライクで嵌りそう
快楽の奴隷:冷たい目で罵って欲しい
焼きスルメ:この娘もSRクラスなんだ
闇の屍者:聖騎士は有能
迷宮管理人:うん、間違いなく正統派ヒロインだね
『三人目は緑のローブと特徴的な三角帽。魔導士クラスのリーフ・エヴァグリーンさんです。お淑やかで優しく知的な女性です。リーフさん、一言お願いします』
『ご紹介にあずかりましたリーフ・エヴァグリーンでございます。以後、お見知りおき願います。微力ではありますが、パーティーの皆様のお役に立てるよう、特にシロさんのために誠心誠意頑張る所存ですので、よろしくお願いいたします』
初見好き:お嬢様だ!
焼きスルメ:語尾が『ですわ』でないお嬢様は認めん
山田の名無し:胸部装甲が圧倒的
闇の屍者:確かにスゲー
百合乙女:百合の波動を感じます
闇の屍者:魔導士もSRクラスやん
迷宮管理人:品が良くて本物のお嬢様っぽいけど……裏がありそうw
『四人目は黒い……というか肌色多めというか、暗殺者クラスのクロウ・トープさんです。見た通り、色っぽい謎多き女性です。ボクも、まだよくわかっていません。クロウさん、一言お願いします』
『クロウだ、よろしく』
『え? それだけ?』
初見好き:スタイル凄くね?
山田の名無し:エロっw
快楽の奴隷:確かにエロい。身体が18禁
闇の屍者:肌色枠だ
百合乙女:BANされませんかね?
山田の名無し:大丈夫でしょ、もっと凄い人もいるし
闇の屍者:それより何なん? 全員SRクラスやなんて
山田の名無し:確かに芸能事務所が無理やりユニット作ったとしか
迷宮管理人:この娘、パーティー内でも謎の人なんだw
『えと、最後になりましたが、ボクはシロフェスネヴュラです。みんな『シロ』と呼んでくれますので、視聴者の皆さんも『シロ』と呼んでいただけると嬉しいです。クラスは……商人です。足手まといにはなると思いますが、精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします』
初見好き:シロちゃん♪
焼きスルメ:か、可愛い
山田の名無し:めちゃくちゃ美少女過ぎないか?
快楽の奴隷:足蹴にされたい
ロキソ忍者:妹枠、ロリ枠?
百合乙女:百合の波動を感じます
闇の屍者:犯罪予備軍が騒いどるな
初見好き:え? シロちゃん商人なの?
闇の屍者:マジか
焼きスルメ:この娘だけ一般クラスとか酷くない?
迷宮管理人:確かにクラス差が大きいな。ついて行けるのか
山田の名無し:可愛さで採用されたのかな
ロキソ忍者:可愛いは正義だから
『皆、注意。敵だ……』
初見好き:せ、戦闘だ
焼きスルメ:どうなる、どうなる?
闇の屍者:シロは大丈夫なん?
山田の名無し:足手まといにならないといいけど
迷宮管理人:お手並み拝見ってところかな
◇◆◇◆◇◆◇
「すみません。自分の見込み違いだったようです」
配信画面から視線を外し、元上司の顔色を窺おうとするが思わず躊躇ってしまう。
A級探宮者ティフォンこと上松蓮司は迷宮会館の一室を借り受け、あるパーティーの探宮デビュー配信を元上司と視聴していた。
上松が試験に立ち会った受験者がとても異質であったため、たまたま日本に帰国していた元上司に報告したところ、今日の視聴の場を設けるよう厳命を受けたのだ。
しかし、上松の期待通りとはいかなかった。試験では自分以上ではと思わせる行動を見せていた件の人物、シロフェスネヴュラは今回の探宮デビュー配信では精彩を欠いていたのだ。
(おかしい、彼女の力はこんなものじゃなかった筈だ。もっと、底の知れなさが感じられたのに……)
自分の見誤りかと疑い始めるが、その前に興味を持たせてしまった元上司に謝らなければ。
「どうやら私の勘違いだったようです。御足労いただいたのに申し訳ございません」
「いや……ありがとう、上松くん」
頭を下げようとした上松は元上司から礼を述べられて戸惑った。
「オリエ会長?」
「期待外れを見せてしまったと恐縮しているなら、心配には及ばぬよ。逆に大変、貴重なものを見せてもらったさ」
その言葉に驚き、目を向けると元上司のオリエ・アルブ・スティグリ迷宮協会名誉会長(全世界の迷宮協会の元トップで、『国際迷宮機関《I・L・O》』の理事の一人)は食い入るように画面を見ながら満面の笑みを浮かべていた。
「なるほど、なるほど……」
オリエ会長は欲しかった玩具が手に入ったかのように嬉しさを全面に出していた。上松は事情がわからず、元上司のご機嫌に目を白黒させる。
(見つけた……これは面白くなってきた。帰国していたのは、まさに運命かね)
ほくそ笑むオリエ会長は携帯端末を取り出すと、おもむろに電話をかける。
「ああ、すまない。少し調べて欲しいことがあってね……」
第69話をお読みいただきありがとうございました。
先週はお休みして申し訳ありませんでした。
まだ忙しさが終わらないので、次回更新も不確定です。
無理せず頑張りますので、よろしくお願いいたします。