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害獣始めました  作者: Nクラフト
3/8

来た者と名前、その付け方

呼ばれて出てきたのは3人の子どもたちだった。

少女が一人と少年が二人、全員が青白い肌をしていて、耳が尖っているのが分かった。

ダークエルフ、それが抱いた第一印象だった。


少女は薄い緑の髪と紫の瞳を持っていた。

少年のうち一人は、薄い青の髪と紫の瞳。

もう一人の少年は、赤い髪と赤い瞳をしていた。


彼らの中で少女が一番身長が高く、次いで青い髪の少年、赤い髪の少年という高さだった。

みんなスラリと細身であったが、栄養状態は良さそうに見えた。


そのうち、少女が進み出ると、老婆に向かって言った。

『おばあちゃん、呼んだ?』

ヴァレトリさんが翻訳魔法(?)をしてくれたおかげで、意味が分かった。


『この場では師匠とお呼び。客人の前であるのじゃからな。』

『客人ってこの獣? 私が捕まえてきたんだけど。』

あの仮面はお前だったのか、結構痛かったんだぞ。


『そうじゃ。そこでこの獣をお主に預けようと思う。』

えー、初対面で暴力的な相手のお世話になるん? やだなー。


『それで、この子は私の使い魔にしてもいいの?』

『お前さん次第じゃ。名前が付いておらんようじゃからな。』


『姉ちゃん、使い魔持てるかもしれないじゃん。チャンスだね。』

と青髪の少年が言った。

どうやら、ボクは名前を勝手に考えられて使い魔にされるらしい。


抗議の意味を込めてキュウキュウ鳴くと、意思が伝わったみたいで

『仮の名じゃ。もちろんお主の気に入るものじゃ。本来の名は探し当てねばならんからの。』

との事であった。


ヴァレトリさんは少女に向かって挑戦的な笑みを浮かべると、

『どうじゃ? やってみるかのアトリア。』

と問うた。少女はアトリアという名前らしい。


『僕も使い魔持ちたいな…。』

と、赤髪の少年が言った。


『まだ早いの。まずは基本を押さえてからじゃ。』

『きちんと学べばそのうちチャンスが来るわ、それまでの辛抱よ、ベナフ。』

赤髪の少年はベナフというらしい。アトリアがベナフを一撫でした


『やるわ、少し準備させて師匠。』

『ほう、やる気じゃの。良い名を考えるのじゃぞ。』

そう話がすすんで、アトリアは隣の部屋に引っ込んだ。


しばらくして、出てくると手に刷毛と赤い液体の入ったツボを持ってきた。

先程はなかった模様が左腕に塗られていた。


『準備出来たわ。早速始めていい?』

『良いじゃろう。客人も心の準備は良いかの?』

『まあ、準備できてなくても始めさせてもらうんだけどね。』


状況から察するに、左腕と同じ模様が僕の体にも描かれて、それが繋がりになるってとこだろうか。

止めても待ってくれなさそうなので、ため息とも深呼吸ともつかないものを吐いてアトリアと向かい合った。


アトリアはツボの中の赤い液体を刷毛で僕の背中に塗り始めた。

冷たくてくすぐったい。変に動かないほうが良いとじっと耐えていると、気づいた。

アトリアの左手の紋様が、ぼんやりと光って見えることに。


多分自分の背中のもそうなんだろうな、と思っていると。

『そうね、耳がウサギみたいに長いから…うさぎ犬』

なんか結構マズイのが聞こえた気がしたので、全力で首を横に振ると途中で止めてくれた。


『うさ…長うさぎ、違うわね…』

いったんウサギから離れても良くない?

『駄目、第一印象は大切よ。』

そうですか…、まともな名前つくといいなぁ。


『よし、決まったわ。アナタは【ラビィ】。』

まともな呼び名だった。けど、発音は「くんとぅらるか」だった。

どっちで考えればいいんだと悩んでいると、


『好きな方でええ。うさぎのような者という意味が通じればそれで良いのじゃ。』

との事であった。

ひとまず、まともな呼び名であったことに安心した。

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