6.子犬
春─。
それは冷たい雪が溶け、植物たちは新たな芽を出し、人が心なしか陽気になり、心躍る季節…。
そんな暖かさの中、子爵令嬢の私─エラ・グレイスは侍女として庭の掃除をしている…。
まぁ、もう慣れたけど。
「シンデレラ、今度はそこを掃除してくれる?」
「はい。」
私は継母様の影響で使用人たちから「シンデレラ」と呼ばれるようになっている。
もちろん、侍女の仕事をしている時だけだが。
私がこの家の令嬢であることは、ほとんどの使用人が知っているだろう。なのに私を平然と侍女として扱えるのは奥様の人選がとても良いからだ。
そんな選ばれし使用人たちの中には、多少サボっても給料が貰えるからとサボる者もいる。
この屋敷はそこそこ広いが、その面積に対して使用人の数が多い。だから、サボる人が出るぐらいが丁度いいと言えよう。
「さて、綺麗になったかな。……ん?」
ガサガサと、低木が揺れたのを見て、私は驚く。
何か…いる……?
え、どうしよう…、取り敢えず誰か呼ぶ…?
【あの人が平民の子のお嬢様?】
【侍女の仕事をしてる子爵家の令嬢なんて、初めて見たわ。】
……。
よし、取り敢えず見に行ってみよう。
私は箒を何かあった時に闘えるようにと構え、ドキドキしながら低木に近づく。
ガサガサ、ガサガサガ!
低木の動きと揺れる音は次第に早くなり、そして…
「!?」
小さな犬が、顔をひょっこりと出した。
生後一ヶ月ほどだろうか? とても綺麗な白い毛並みをしている。
子犬は私に気づいたようだが、怯える様子はなく、そのまま全身を低木から出す。
「!?」
後ろ足、怪我してる…。
子犬の右後ろ足の毛は痛々しくも赤く染まっていた。
どうにかしなきゃ。
私はちょうど近くにあったタオルを拝借し、子犬をそのタオルで包む。
子犬は抵抗せず、されるがままだ。弱っているのかもしれない。
少し早いけど、緊急事態だし抜けてもいいよね。
私は心の中で言い訳をし、主治医のオリナのところへ向かった。
彼の家では確か、犬を飼っていた。
怪我の治療くらいは知っているかもしれない。
「お嬢様、どうされましたか?」
医療室に入ると、オリナがいつもどおり無愛想な顔をして淡々と言う。
私はそれを気にしている暇はないため、すぐに要件を言った。
「この子を助けてほしいの!」
どうも、こんにちは。
新キャラの名を「オリジナル」を元に考えたあぷりこっとです。
お菓子の商品名を見てて、「オリジナル」という言葉を見て、あ、ここから考えようと思った感じです。
お菓子要素はどこへやら……(笑)。
さて、今回は新キャラが登場しました。
最初は女キャラにしようと思ってたんですが、今後使いやすそうな男キャラにしました。
私、無愛想キャラが結構好きなんですよね〜。
表情がわかりにくい分、わかってきたら面白いとか、いつも無愛想なくせに、不意に笑顔を見せたりとか……。
まぁ、オリナがそうなるかはわかりませんが。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ〜イ!