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シンデレラ 〜馭者は〇〇でした〜  作者: あぷりこっと
5/20

5.本性

 ルーラが辞めた後、新しく私専属の使用人を雇うか、家族で相談した。

 その時に継母様(おかあさま)は言った。

「私の使用人にさせましょうか?」

 と。

 継母様の使用人は、継母様が「人を見る目には自身があるの」と言って選ばれた使用人だ。

 確かに、今まで継母様の選んだ使用人が問題を起こしたことがない。皆、いい使用人だと思う。

 ─でもその時、なんとなく継母様の使用人はダメだ、と思った。だから

「いえ、大丈夫です。

 自分のことは自分で出来ますわ。」

 断った。

「そう? 何かあったら言ってね。」

「はい、継母様。」

 継母様は不思議そうにそう言った。

 今では、あの判断は正しかったと思う。

 

 ルーラが辞めてから一週間が経ったとき、継母様に呼ばれた。

 お父様が仕事で出ている日だった。

「どうされましたか? 継母様。」

「実は、先程使用人たちの新しい制服が届いたの。

 よかったらこれを着て、感想を聞かせてくれないかしら。」

 そう言って継母様はメイド服を私に渡す。

「もちろんです。」

 

 その日から、継母様はメイド服を私に着せるようになった。

 私は日に日に疑問を募らせつつも、継母様の言うとおりにメイド服を着た。

 それはだんだんエスカレートしていって、お父様が帰るまで着ているように言うようになり、使用人として働くよう言ってくるようにもなった。

 私は従った。何か継母様に考えがなるのだと思ったからだ。

 今はあれを後悔している。

 そしてある日、私は暖炉の掃除をしながら継母様に尋ねた。

「どうして、私にこのようなことをさせるのですか?」

 と。

 すると継母様は、堪えきれなくなったと言わんばかりに、笑い出した。

「!?」

「どうしてって、まだわかってなかったの?」

 嘲笑うような目を、継母様は私に向けながらそう言った。

「貴女が、平民の子だからよ、シンデレラ(灰かぶりのエラ)。」

「え…?」

 今までの継母様と別人なのではないかと思ってしまうくらい、継母様の態度は豹変した。

「どういうことですか…?」

「そのままの意味よ。

 全く、やっぱり平民の子は物わかりが悪いわね。

 私と同じように、この家で貴族として振舞っていて、旦那様の愛を私達以上に受けていると考えるだけで、反吐が出るわ。」

 継母様は吐き捨てるように言う。

「で、では、私にこのような雑務をさせているのは…。」

「そう。貴女がその格好の方がお似合いだと思ったからよ、シンデレラ。

 本っ当に似合っているわ、シンデレラ。」

 私は、絶望した。

 今まで信じていた人に裏切られた、そう感じた。

 でも、私の味方をしてくれる使用人は、慰めてくれる人は…一人もいない。

 そうか…、継母様は私を孤立させるために嘘の証拠を用い、ルーラを追い出したんだ…。使用人を新しく入れたのは、自分の味方を増やすため……。

 この屋敷の者は、皆継母様の味方なんだ……。

 そのことがわかり、私はやっとルーラの言ったことの意味が理解できた。

 

【これから、色々、大変なことが起きるかと思います。

 それでもどうか、生きてください。】

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