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シンデレラ 〜馭者は〇〇でした〜  作者: あぷりこっと
18/20

18.舞踏会

「もうすぐですね。」

 前方には、とても大きな、美しい城が建っていた。

 城の敷地内に入る前に、衛兵に止められる。

 それもそうだろう。どこからどう見てもこの馬車は、貴族の令嬢が乗るようなそれではない。

「お前は誰だ?」

 衛兵がリツルを睨む。

 ひぇ〜、やっぱり無理かな…。

 慌てる私とは対照的に、リツルは落ち着いていた。

 そして、長い髪をかきあげる。

「!? あ、貴方様は……!?」

 ?

 リツルは人差し指を自分の口元に持ってくる。

「このことは内密に。」

 なにか衛兵たちにリツルは言うが、私にはその声が小さくて聞き取れなかった。

「シンデレラ様、招待状を。」

「あ、うん。」

 私はリツルに招待状を渡す。リツルは受け取ったあと、衛兵たちに見せる。

「確かに、確認いたしました。どうぞお進みください。」

「ありがとうございます。」

 リツルはそう言うと、前に馬車を進める。

「ね、ねぇリツル。」

「はい?」

「貴方って何者…?」

「何者ってただの馭者ですよ?

 シンデレラ様、そろそろご準備を。」

 馬車は舞踏会会場入り口に近づいていた。

 私はリツルに言われた通り、降りる準備をする。

「着きましたよ。」

 リツルはそう言うと運転席から降り、荷車のドアを開く。

 そして、私に向けて手を差し出す。

「ありがとう。」

 私はその手を掴み、降りる。

 下りた私を見てリツルは

「あっ……。」

 と言い、ため息をつく。

「え!? どうしたの?」

 何か私、ため息をつかれるようなことした…?

「すみません、気が回らなくて……。」

「?」

 どうやら、そうではないみたい…?

 リツルは荷車の中から、一つの帽子を出してくる。

 つばの広い貴婦人が被っているような…そんなやつ。

 そして、リツルは私の髪を帽子で覆いながら、被せる。

「これでいいかな?」

「えっと…これは……?」

「シンデレラ様のような髪色は大変珍しく、目立ってしまうので。

 ご家族の方に見つかったら大変でしょ?」

「あ、そうね。ありがとう。」

 なんと気の利くイケメンだろう……。

「僕は仕事を終えた後、またここに来ます。12時に着くと思うので、それまでには。」

「えぇ、わかってるわ。12時の鐘がなる頃には、ここで待ってる。」

 私は大きく頷きながら、そう応える。

「では、いってらっしゃいませ、シンデレラ様。」

 

 舞踏会は…なんというか、王城のものと言うだけあって、とても華やかだった。

 ゆったりとした曲が流れ、何ペアかが踊っている。

 リアム王子は……まだ来られていないみたい。

 ステージの上に明らかに高貴なる方が座る椅子がある。恐らく王子が座られる席だろう。

 会場の隅の方には大きなテーブルがあり、その上には美味しそうな食事が……。

 私はその食事を味わい、楽しんだ。

 そして、時間は過ぎていった─。

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