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15.出発
「お待たせ。」
私はドレスに着替え、手に招待状を持って、家から出てきた。
門の前には、先程と変わらず馬車が停めてあり、馭者は馬車の外に出て私を待っていてくれたようだ。
私の声を聞き、馭者は振り返る。そして
「……。」
無言で私を見た。
「……。」
……、何も言わない!?
え、嘘、変だったかな?!
このドレス、着方間違ってるかな?! 久々すぎて、自信ない!
「その…やっぱり、変だった…かな…?」
結果、私は少し自信をなくしてしまった。
「い、いえ、そんな!」
リツルが慌ててそう言う。
「その…とても…お似合いですよ。」
リツルがふわっと笑う。
うわぁ…
リツルの長い髪が風に揺れ、整った顔が現れる。
綺麗…
「? シンデレラ様? どうされました?」
「あ、うん。何でもないよ。」
私は目を逸らす。
言えない、リツルに見惚れてたなんて、言えない……。
「では、行きますか。シンデレラ様。」
リツルが私に手を延ばす。
「うん!」
私はリツルの手を取り、馬車に乗った─。