14.ドレス
「王城に連れて行ってください!」
私は勢いでそう言った後、すぐに冷静になり思った。
流石に行けない、と。
いくらどこでも連れて行くとはいえ、王城はまずい。
まず断られるだろうし…
「……行けますよ。」
馭者は少し考えた後、そう言った。
え、行けるの…?
あ、でも
「ドレスがないんでした……。」
私はここ何年もパーティーには参加していない。
今あるドレスは小さい…というか、エレンに譲ってしまっている。
「ドレスですか? それならありますよ。」
「え、あるの!?」
「僕は服を売っているんです。実はドレスもあるんですよ。
気に入るのがあれば、無料で差し上げます。」
何ということだろう。いるもの全て揃ってしまった。
「魔法とかは、出てこないのね。」
「?」
「いえ、なんでもないわ。」
舞踏会の招待状も万一に備え、引き出しの中にしまってある。
諦めかけていた「舞踏会に行く」が叶うのだ。
そのことに私はワクワクしながら、馭者に話しかける。
「では、ドレスを見せていただけますか?
─の前に、名前を教えてもらってもいいでしょうか?」
「え、あ、はい。
僕はリツルと申します。僕は平民なので、敬語は使っていただかなくて結構です。」
リツル…か。
「私は…シンデレラ。
少しの間だけど、よろしくね、リツル。」
私は本名をリツルに伝えなかった。
本来なら私は舞踏会に行かない、けじめのようなものだ。
「シンデレラ……。」
私の名を聞き、リツルは数秒考える─が、すぐに切り替え、私の目の前にドレスを何着か持ってくる。
「そうですね……このドレスとかいかがですか?」
リツルは緑のベアトップドレスを手に取る。
所々小さな宝石が使われていて、とても綺麗だ。が、このタイプのドレスは胸から上が隠れないので、継母や義妹につけられた傷が見えてしまう。
「え〜っと…もっと露出の少ないものをお願いしてもいいかしら?」
「わかりました。でしたら…こちらはどうですか?」
リツルは水色のロングスリーブドレスを私に見せる。
こちらには宝石類は一切使われていないが、とても細かい刺繍がたくさん施されている。生地もあまり薄くないので透けにけく、ドレスの袖や裾も長め。
正しく求めていたものだ。
私が美しいそのドレスに見惚れていると、何も言わないことを心配したのか
「あの、シンデレラ様の金の髪が映える色を選びましたので、お似合いになると思うのですが……。」
とリツルが言う。
「あ、ごめんなさい。つい見惚れてしまって……。
とても美しいわ、ありがとうリツル。」
私は礼を言ってリツルからドレスを受け取ると、それを持って家に入り、着替えるために自分の部屋に向かった─。
どうも、こんにちは。
あぷりこっとです。
先週は投稿できなくて、すみませんでした。
本当に時間はあっという間に過ぎますね……(つまり忘れてました)。
今回のストーリーはドレスに少々苦戦しました。
どういう意味かと申しますと、ドレスの形は想像できていたのですが、名前がわからないという状況に陥ってしまったのです。
私は服に対する興味がかなり薄いので…。服の表現は合っても最小限ですし、小説を読む場合もの場合も飛ばして読んでしまうことが多いです。
だから進歩しないんでしょうね(汗)。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ〜イ!