13.馭者
ガタンッ
馬車の車輪が大きめの石にぶつかり、大きく揺れたかと思うと、
「うぉっ!?」
「あっ」
馭者の人の体が浮き、投げ出された─。
私は一瞬の出来事でしばらく呆気にとられていた。
そして、我に返る。
「だ、大丈夫ですか?!」
私は急いでその馭者に駆け寄る。
「いたた…、大丈夫です。怪我もしてませんし。」
「でも……。」
その馭者─男性は茶髪だった。
最近髪を切ってないのか、少し長くて顔はあまり見えない。
でも、ちらりと覗いた蒼い瞳はサファイアのように輝いていて…多分イケメン。
「って、肘を擦りむいてるじゃないですか!?」
「え、これくらい…」
「駄目です。家に入ってください。(オリナが)手当しますので。」
「い、いえ、僕のような商人がお貴族様のお屋敷に入るなど……」
「別に、構わないけど…」
「ですが…」
う〜ん、無理強いはよくないか。
「わかりました。」
「?」
「家の主治医を呼んでくるので、手当してもらいましょう。
ここで待っててください。」
「いえ、本当に…」
「待っててください、すぐに連れてきますから!」
私は馭者に有無を言わさず、オリナを呼びに屋敷に入った。
「お待たせ!」
「ず、随分と早かったですね…」
馭者は逃げようと思ったのか、馬車に乗ろうとしていた。
「走ったので。」
「それはそれは…。」
「はしたないので、もうやめてくださいね。」
「はーい……。」
オリナは私に一言言った後、馭者の手当をしていく。
「相変わらず手際いいね。」
「伊達にこの家の主治医をしているわけじゃないので。
はい、終わりました。他に気になるところとかありませんか?」
「いえ、大丈夫です。
ありがとうございました。」
ということで、馭者の手当が終わる。
「では、私達は失礼しますね。」
「お大事に。」
私達は家に入ろうとする。
すると
「あのっ」
馭者に呼び止められる。
彼も無意識だったのか、驚いた顔をしている。
「えっと、その…」
「? どうされましたか?」
「お、お二人にお礼をしたくて……。」
? どういう風の吹き回しだろう?
さっきまで大丈夫だと言い張って、すぐに帰ろうとしていた彼がお礼を、なんて……。
「自分はお嬢様に呼ばれて来ただけなんで、お礼ならお嬢様にしてください。
ということで、自分は忙しいので失礼します。」
あ、オリナ逃げた……。
「あの…」
「あ、はい、お礼ですね。」
なんだろう、この微妙な空気は……
「ぼ、僕は、服の行商をしています。
どこへでも行けます。
僕のような者に出来ることはこれくらいしかありませんが、もしよろしければ…」
『どこへでも』…?
「あのっ!」
私は前のめりになる。
そして…
「王城に連れて行ってください!」
っと言った─。
どうも、こんにちは。
最近プラモデルの塗装を頑張っているあぷりこっとです。
皆さんはプラモデルを作ったことがおありですか?
私は好きでたまに作るのですが、塗装の自信がなく、今まで塗装済みのものを作っていました。
でも、いつまでも甘えてはいられないと思い、塗装をしたりしています。
作っているのは世界遺産にも登録されている姫路城です。
最初の方はムラができたりしていましたが、今では少なくなったと思います。完成する頃には完璧なのでは?(キランッ)
さて、今回のストーリーは馭者との会話がメインでした。
「…」が多くて、内気な人なのかな〜っと思われた方も多いかと思います。
私は、貴族に対する接し方に迷ってのものなのかと勝手に思っています。
普通は手当なんてしてくれなかったりするので。
この後、どう転ぶのか、楽しみですね。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ〜イ!