12.いってらっしゃい
「ごめんなさい、5日後の舞踏会、お休みさせていただきます。」
ここは、執務室─。
そこで私は父に頭を下げていた。
それを父は無言で見ていた。
やがて…
「その理由は?」
と尋ねた。
「……、私は平民の娘です。私は場違いです。」
「─お前は招待されている。行く資格がある。
堂々としていればいい。」
「でも、私は嫌なんです…!」
ここで、父が「それでも来い」と言ってくれれば…、そうすれば私は行ける……。
そう、期待しながら、父の返事を待った。
返事は─
「そうか。だったら無理をする必要はない。」
だった。
「ありがとう、ございます……。」
私は、舞踏会に行けなくなった─。
「いってらっしゃい。気をつけてね、お父様、継母様、エレン。」
「あぁ、行ってくる。」
「お留守番、よろしくね。」
「行ってきます、義姉様。」
舞踏会当日─。
私は3人を見送るために、玄関まで出ていた。
「エラ、本当に後悔はないんだな?」
……、父は違和感を感じているらしい。
こんな時にまで尋ねてくる。
私は心配させないために、笑顔を作る。
「もちろん大丈夫。ゆっくりしていると、遅れてしまうよ。」
「……、そうだな。」
父たちは馬車に乗り、手を振りながら城へ向かって小さくなっていく─。
それに手を振りながら、私はボソッと呟く。
「後悔、してるよ…。」
しないわけ、ないじゃない……。
行きたくて、しょうがなかった。
エレンに脅されなければ、私もあの馬車に乗ってたのに……。
【そんな上から目線のことを言ったらダメよ!】
あの日のこと、王子に──な……。
それさえできれば、私は満足なのに…。
「はぁ…。」
ま、ここでいつまでも悩んでもしょうがない。
「家に入ろ……。」
カラカラ…
ん?
私は音のする方を見る。
業者の馬車…? こんな時間に、珍しいな。
ガタンッ
馬車の車輪が大きめの石にぶつかり、大きく揺れたかと思うと、
「うぉっ!?」
「あっ」
馭者の人の体が浮き、投げ出された─。
どうも、こんにちは。
この小説の鍵である馭者がやっと登場して喜んでいるあぷりこっとです。
舞踏会に行くことができなくなったエラ。
シンデレラのリメイクなので、どうにかして舞踏会に行って王子に会わないといけませんよね。
どうなるのでしょうか、楽しみです(笑)。
次回は馭者とエラがメインになると思うので、来週を楽しみにしててくださると、幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ〜イ!