11.脅し
「シンデレラにこう言いに来たのよ。
『舞踏会に行くのはおやめなさい』ってね。」
義妹の言葉を聞き、私は呆気にとられる。
舞踏会に行くなって…
「……どういうことでしょうか?」
「あら? そのままの意味よ?
もしかして、平民の貴女には難しい言葉遣いだったかしら?」
エレンが挑発的な物言いをするが、私にとってはそれはどうでもよくなっていた。
「なぜ、私は行ってはならないのでしょうか?」
「場違いだからに決まってるじゃない、平民。
そんなこともわからないの?」
「……、私も招待はされています。行っても構わないのでは?」
「恐らく、それは手違いよ。送った人が貴女が平民の娘だと知らなかったから送られてきたの。
それを知らずに王子様が貴女を気に入ったらどうするのよ。」
別に、気に入られたいなんて微塵も思ってないけど。
「大丈夫ですよ。私みたいな者がいても気づかれないくらい舞踏会は華やかでしょうから。」
「でも、万が一」
「それともお嬢様は、私が選ばれると思われているのですか? 自信がおありではないのですか?」
どうやら、私の言葉が気に食わなかったようだ。
パシンッ
気づいたら、頬を打たれていた。
「主人に対して、何で態度なの!? ほんっと、信じられない!!」
「くっ……、申し訳ありません、お嬢様。」
「もし貴女がまだ舞踏会に行くというのなら、私にも考えがあるわ!!」
? 考え…?
エレンは小さなベッドで眠るシロを見る。
「貴女が今日中にお父様に舞踏会に行かないと伝えなかったら、貴女が食べた毒を、今度はあの毛玉に食べさせるわ。」
「!?」
毛玉とは、恐らくシロのことだろう。
ひとくち食べただけでも、かなりしんどかった。
そんな毒をまだ体の小さいシロが食べたらどうなるだろうか。
背筋に悪寒が走る。
「わ、わかりました。」
王子の件は諦めるしかない。
「私は行きません。その代わり…」
「はいはい、わかってるわよ。
貴女が今日中にお父様に舞踏会に行かないと告げたら、絶対にあの毛玉に毒を与えない。誓うわ。」
「ありがとう、ございます。」
エレンは言いたいことが言え、満足したようだ。
エラの部屋を出ていく。
お父様に、伝えないとな…。
トントン
エラが出てから少しした後、誰かがドアをノックする。
「お嬢様、入ってもよろしいですか?」
この声はオリナの声だ。
「いいよ。」
オリナは私の返事を聞き、部屋に入ってくる。
「!? どうしたんですか、その頬!」
オリナは真っ先に私の腫れた頬に気づいた。
オリナは私のところに迷わずかけより、応急処置を施していく。
「もしかして、エレン様に…?」
どうやら、先程私の部屋から出るエレンを見かけたようだ。
「うん……。
舞踏会、行けなくなっちゃった。」
私は笑ってそう言って見せる。
一筋の涙を零しながら─。
どうも、こんにちは。
何があってもエレンのようにはなりたくないと思ったあぷりこっとです。
ほんと、人質使うとか、ひどいですよね〜。
やるなら、正々堂々やってほしいものです。
さて、やっとエラの舞踏会に行けなくなった理由が描けました。
次回辺りから、やっと本編に…って感じになっていくかと思います。どうぞ、お楽しみに〜。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。
バイバ〜イ!