神様、コイツ(神様)を殴りたい〜あと糞親も〜
初投稿です。
衝動的に書いたので短い上に中身はありません。
でも後悔はしない!
真っ白な世界で目を覚ました私に、目の前の『コイツ』は
「突然ですがw残念ながら貴方は死んでしまわれたのですw
あ、私担当の『神』だよ。よろしくねw」
思わず殴りたくなるような、草が生えてきそうな笑みで言った。
…よし、殴ろう!
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両親が高校生の頃に駆け落ちし、生まれた私は、きっと邪魔者だったのでしょう。ストレスからパチンコにハマり、最低限の生活費以外を給料日に使い切る母、そんな母を見て絶望して私を頑なに見ようとせず、稀ににしか帰らない父。たぶん離婚しなかったのは私への最後の愛情だったのか、ただの世間体かだろう。義務教育である中学卒業の日、家に帰ってから分かったことは消えた両親と離婚届のコピーが置かれたテーブルでした。
中卒の、しかも住所無しの私を雇ってくれる所など見つからず、年齢を詐称して働いていた給料とそれが尽きたらホームレス仲間から教わったスリと置引で半年程生き残っていた。そんな私を拾ってくれたのは私の叔母を名乗る方でした。
叔母様は母の妹だそうで、最近やっと母と連絡が取れたと思ったら、離婚した上に子供を放り出し、あまつさえ金の無心に来たと言うではありませんか。「15なんだから大人で良いじゃない、義務教育も終わったんだし」と酒臭い息で宣う母を殴り倒し、慌ててこの町へ探しに来たそうです。
それからは高校、大学と養ってくれている叔母様に感謝しつつバイトや勉強を頑張り、やっと内定を取れたその日に叔母と酒盛りしたのが最後の記憶。
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〜とりあえず殴ろうとしたけど体が全く動かない事に気づき、鏡で光の珠状態の体になっているのを知ってパニックから落ち着くまで数時間〜
「落ち着きました?」
「えぇ…えっと、私が死んだ、でしたっけ??」
「はい!」
ものすごい笑顔で『神』は言う。
「…たとえそうだとして、死因は?調子に乗って飲み過ぎた?」
だとしたら叔母に申し訳なさすぎるんだけど。
「?…ふふっ♪何言ってるんですか?貴方の死因は焼死ですよ?」
「…は?えっ?焼死?」
『神』は笑顔だった。しかし、その瞳に感情は見えなかった。
「貴方は殺されたんですよ。金を無心に来た、あなたの母に。」
…えっ?母が何故?どうして?なんでなんでなんでなんで………
「いつもの様に深夜を見計らって金の無心に来た貴方の母親は、だらしない顔で眠る貴方と内定通知、幸せそうな笑顔で眠る自身の妹を見て、借金苦の自分との違いに思わず油とライターで二人を焼き殺しました。」
…あああああああああああああぁ!
「あの糞親がっ!」
何年経っても変わらず、周囲に迷惑を掛け続ける母をやはり許せなかったし、心底軽蔑していて、そんな人の血が流れてるのが本当に嫌だった。そんな人間の子供を保護して一緒に暮らしてくれた叔母様にはとても感謝していたのに、そんな叔母の終わりが姉に殺されるとかあんまりだろう。…無事に天国行けたかな。
「あ、貴方の叔母はしっかり成仏しましたよ。ちゃんと一定以上の徳を積んであったので。」
え?ちょっと待って、なんかすごい聞き流せない言葉が出てきたんだけど。
「徳?っていうかそれなら私は?」
「何言ってるんですか?貴方若すぎるし、何よりなんか善行しました?人一人でも救うような。」
…してないな。生きるのに手一杯だったから、最近やっと周囲を見れるようになった位だし。
「そんな訳で、貴方には記憶保持のままの転生措置となります。」
…転生?って同じバイトの子が言ってたアレ?
「異世界の?」
「そうですそうです。わかりやすく説明するなら、今までの貴方の記憶を魂に刻んだ状態で赤子として新しく産まれるということです。」
オーケー、とりあえず理解したくないけど赤ちゃんの時地獄なのは想定出来た。
「要はそこで徳だのを積んでからこっちにもう一度来て成仏しろと」
「理解が早くて助かります」
なるほどねぇ、徳ってのがよくわからんけど、なんとなくでやってみようかな?
「ちなみに前世で悪徳をおこなっているとその分だけ生まれにペナルティーが付きます。逆もまた然りで。」
…ん?
「例えば快楽殺人鬼は廃人になるまで2〜30回虐待家庭に産まれ、殺されていました。今では目と耳を代償に記憶と罪科をリセットして善良な人間として暮らしていますよ」
ちょっと待って。
「あとは徳の足りなかった善人は貴族として産まれて偏った教育で悪徳貴族となりました」
いやいやいや!
「待って、殺人鬼はともかく、貴族の人善人だったのでは?」
「偏った教育されないような善人しか居ない貴族家に産まれるには少し徳が足りませんでしたから」
…コイツにおまけとか慈悲とかないのか?絶対その後徳の積み直しになったろそいつ。
しかもその理論でいくと私もやばくない?
・徳をほぼ積んでない
・親より先に死んだ
・窃盗経験者(歴半年)
oh…
確実に悪徳が徳を上回ってるよね、コレ。
「そんな訳で転生させるので頑張ってきてくださいね」
そう言われた私は自身の下から光が溢れ始めている事に気づき
「!待って待って、交渉の、転生先の交渉の時間をください!」
そう言って焦る私に取り合わない『神』は最初と同じ殴りたくなるような笑顔で
「いってらっしゃーい!」
なんて笑っていて
…絶対いつか殴る!
そう決めた直後に私の意識は途切れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
光が消えたあと、そこに残った『神』は一息ついた。
「…ふぅ、やっと行きましたか、最近の若者なら異世界転生だー!とか言って何も聞かずに行ってくれるのに」
本当に面倒そうに
「本当に面倒な娘でした。いくら転生先が徳によって決まっても、その後は自分次第だというのに」
そしてふと
「それに、私の自己紹介聞いて運命に干渉できるの分かるはずなのになんで初対面殴りかかろうとしたんだろ?」
『転生と運命を司る神』は
「ん?あ〜あの娘には私は『神』だ!としか言ってないや。そんな不審者相手に煽られたら殴りかかっても仕方なく…ない…かな?…まぁいいか!だってあの娘なら」
光に包まれて
「私が手を出すまでもなく最高な人生送れるからね」
姿を消した。
読了ありがとうございました。