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第二十九話:冒険者になったのは



 それは――十二年程前の事。




 迷宮都市から遠く離れた痩せた土地にある小さな村。


 身寄りを失った子供達を預かる孤児院を兼ねた教会の裏手。


 八歳になったばかりの二人の少年がほど良い枝をブンブンと振り回していた。


「やぁっ!」


「たぁっ!」


 互いの幼い掛け声と共に、軽い音を立てて枝をぶつけあっていると、


「レオン! ヴィル! 喧嘩はやめなさーい!!」


 小さい少女に連れられた二十歳手前の栗色のショートヘアの女性が、二人の間に割って入った。


「わっ! びっくりしたっ!」


「危ないよ、シスター!」


 仰け反り抗議する子供達に、修道女であるメアリー・リーフレットは、眉を吊り上げた。


「危ないのは貴方達よ! 枝なんて持ち出してまで喧嘩するなんて、何があったの!?」


 それに少年は顔を見合わせて、小さく笑う。


「違うよ、シスター。俺達は剣の修行をしてたんだ!」


「違うよ、シスター。僕達は剣の修行をしてたんだ!」



 声を揃える彼等に、彼女は目を丸くした。





 ――孤児は、何かを奪われた子供達だ。


 住む場所や財産や家族を失う原因の多くは、『争い』。


 だから、自然とそういったモノを避ける傾向があった。


 シスター達は毎年、子供達に将来の夢を聞く


 大人になった時に何をしたいのか、何をするべきなのかを考えさるにはその子の為になるし、それが希望となり支えにもなる――と、神父は語っていた。


 多くの子供は、パン屋さんとか花屋さんだとかの店員。本が好きなら子なら都会に出て学園に入るという事もある。


 子供心は変わり易く、毎年コロコロと変わる子も少ない。


 だが、レオン・グレイシスとヴィル・アルマークは、一貫していた。


 本棚で見つけた英雄譚を見つけてからか、それとも時折訪れる冒険者の影響か、強い憧れを持ち、日々、拾った枝を剣といって振るっているのだ。


 冒険者になる――と言い張る二人に大人達は良い顔をしない。


 危険だ、と窘めつつ『自分達が孤児となった理由を忘れたか』と憐れむようだった。


 ――それでも、彼等は冒険者になりたかった。





 その教会では十歳になった子供は、ギルドで【クラス】を調べるのが恒例となっている。


 孤児でなくとも、神から受けた恩恵を知る事で凡その自身の向き不向きが分かり、それが将来設計に大きな影響を与えるのだ。


 例えば、【ソードマン】なら村の衛士になる事も、街に出て憲兵になるのも良い。


 重武装で斧などに適正がある【ウォーリア】のクラスなら、木こりや作業員として十分に働ける身体が作り易いし、【アーチャー】なら猟師になるにも困らない。


【スペルキャスター】なら学者になるのもありかもしれない。


 もっと一般的な商いを行うにしても、クラスの恩恵は多少なりとも受けられ、選択肢が変わって来るだろう。


 二人のクラスは、攻めと守りを兼ねた【ガーディアン】と剣術に秀でた【ブレイダー】だった。





 たまに村で見る変な大人達は、『この世界は、終わりが決まっている』と言う。


 諸説あり、様々な文献やお伽噺があるが、多くに共通するものがある。


 まだ神が地上に存在し、人々と共存していた『神代』。


 その世界樹は神々が世界に打ち込んだくさび

 地下深くに眠る“終焉を告げる者”の揺り籠であり、封印。


 世界樹がソレからマナを搾取し実をつけ、その熟した果実が落ちてまた養分となる循環の輪が封印の強度を維持し、人々は平穏な日々を過ごしていた。



 だが、一人の人間が命の源であるマナを生み出す世界樹の果実を口にする禁忌を犯した。


 その循環が滞り、世界樹の根元が腐りダンジョンが生まれた。


 世界に終焉を告げに“ソレ”が現れる未来に、神々は人類を見放し地上を去ったのだ。


 スキルや魔法などは、神々の最期の温情だったという。


 その『遠い未来』が、もう間もなく訪れる――なんだとか。


 しかし、少年二人にはそのお揃いの黒いローブの大人達の嘆きは分からなかった。


 そんな、お伽噺の中の英雄を待ちわびるよりも、


「俺達が――」


「僕達が――」


 その英雄になれば良い。





 十二になる頃には、子供ながらに木剣を堅実に振るっていたおかげか、それぞれがスキルを発現していた。


 流石に、この頃になると二人の修行は教会の裏手では神父やシスター達の――特に、メアリー・リーフレットが五月蠅いので、場所は村に隣接する森を少し入った広場に移した。


「――《蒼波刃(そうはじん)》!」


「――【インパクトアブソーバー】!」


 ヴィルの木剣から蒼い魔力を斬撃として放出しつつ振り下ろされるのを、レオンの木剣が迎え撃ち、ヴィルの剣術下位スキルを無効化し蓄積させた。


 固有スキルで押し付けられた硬直が解けて、ぜぇぜぇ、と息を切らすヴィルにレオンは額の汗を拭って満足そうに笑った。


「よーし! これで十五回。大分、良い感じじゃないか?」


「き、昨日より二回……増えたけど――」


 力尽きて、座り込むヴィルは唇を尖らせる。


「全然、君に敵う気がしないよ。どんなに全力で打ち込んでも簡単に防がれちゃうんだもん」


剣術スキル(蒼波刃)っても、要は“リーチが伸びただけ”だからな。ガキの頃から一緒に修行してるんだから、お前の間合いやタイミングは身に染みてるんだよ」


 得意げに笑うレオンに悔しそうにヴィルは頬を膨らませた。


「そう言ってられるのも今の内だよ。スキルは使い込んで熟練度が上がればその分強くなるんだ。いつか、君の固有スキルだって破ってみせるよ!」


「はは、それでこそ俺の相棒だ! けど、お前が強くなる分だけ俺も追いついてやるよ」


「あぁ、当然さ!」


 十六で教会を出る時には二人で冒険者になり、いつか、ちからをつけて迷宮都市のダンジョンに挑む。


 物語の様な英雄となる為に――二人は木剣をコツンと交わした。





 十五になると独り立ちを目前に控え、具体的な目標を決める時期だ。


 大抵の少年少女は各々の道を決める中、当然……というべきか、頑なというべきかレオンとヴィルは冒険者を目指していた。


 実際、まだ心身は発育途中だがある程度の身体が出来始めるのに伴いマナの生成や魔力の練り上げる能力も向上した。


 そして、誰に教わる訳でもないが、クラスによる恩恵により“戦いの勘”を培っていく。


 独自のスキルの打ち合いによる【経験値】の蓄積により新たなスキルの発現で実戦的な強さを得た頃には、村に近寄る森の狼位なら二人だけで追い払えるようになっていた。


「――冒険者になる二人に、私からの贈り物よ」


 一対の少し大振りな短剣。


 大人が持つには些か、主武装とするには心もとないが、十六程度の少年が初めて持つ武器にしてみれば丁度良かった。


 メアリー・リーフレットから送られた村の唯一の鍛冶屋が鍛えた安価な大量生産品の一組。


「だけど、約束して? この剣を鞘から抜くのは自分達が“どんな冒険者になりたい”かしっかり決めてからよ。コレは玩具じゃない、命を奪う武器だから覚悟と責任を持って振るうの」


 彼等は答えた。


「強い冒険者になるさ」


「カッコイイ冒険者になってみせるよ」


 と。


「んー、そういうのじゃなくてね?」


 そう本物の剣に目を輝かせる彼等に、困った様に苦笑して、優しくそして強く抱きしめる。


「“貴方達自身が、何の為に、誰の為に頑張るのか”。それを忘れなければ、二人はずっと今のままで居られる筈よ」


 彼女の言葉の意味はまだよく理解出来なかったが、その温もりと優しさは心に刻まれた。


「いつも、私達を守ってくれてありがとう。『貴方達は私の英雄よ』。だから、きっと良い冒険者になって色んな人を助けてあげてね」



 どんな冒険者に――英雄になりたいか……


 それを決めた時に、その冒険者になる為に彼女の前で剣を抜こう。


 レオンとヴィルはその約束を守って、決して鞘から抜かなかった。


 だが、メアリー・リーフレットが、彼等がその剣を抜く姿を――見る事は出来なかった。





 メアリー・リーフレットはレオン・グレイシスとヴィル・アルマークにとって、特別な大人だった。


 冒険者になる夢を認めてくれた人。


 一番近くに寄り添ってくれた人。


 自分達だけが彼女の特別ではない、と子供ながらに分かっていた。


 誰にでも優しくて、支えになってくれる人。


 それでも二人にとっては、母の様で姉の様で――それ以上にかけがえのない人だった。


 その彼女が突然、亡くなった。


 ――病気だった。


 都会でちゃんと治療を受ければ助かった程度の病。


 教会も村のギルドに都会への同行や上位回復職の治癒を依頼していたという。


 だが、財政難の教会は相場の依頼料には足りなかった。


 割に合わない依頼を冒険者は受ける事は無い。


 彼等は自分の利益の為に冒険者になったのだ。


 ――だから、彼女は亡くなった。


 苦痛に耐えながら、彼女は最後まで子供達を見守っていたのだ。



 レオン・グレイシスとヴィル・アルマークは冒険者になりたかった。


 それでも、彼らは冒険者が嫌いだった。





 冒険者は総じて、良いものとは言えない。


 辺境でたむろするような冒険者は賊紛いのゴロツキばかり。


 その癖、低いランクを鼻にかけるのだ。


 そして、上級冒険者(Sランク)程、辺境の村など目もくれず富と名声を求めて迷宮都市へと赴いていく。


 結果として、その行動は誰かの為になり、誰かを救うかもしれない


 だが、その実は自分の事だけを考えて力を振るう輩だと、彼等は思う。


 救われぬ者に救いの手を差し伸べる冒険者を見た事が無い。


 人々の為に世界を救おうという冒険者など知らない。


 だからこそ、彼等は冒険者になりたかった。



 下級冒険者(Eランク)の様に落ちぶれてなるものか、と。


 上級冒険者(Sランク)の様に傲慢になるものか、と。



「必ず、英雄になろう。僕達で」


「あぁ、俺達のこの“剣”に誓おう」


 誰にでも手を差し伸べ、支えられる様な。


 お互いがお互いの剣に誓いを立てて、彼女の墓の前で鞘から抜いた。


「だから、一緒に冒険者になろう。そして言ってやろう。お高くとまったSランクの奴等に――」


 真に世界が求めている英雄は、今を生きている誰かの為に剣をとる冒険者なのだと。





 そして、十六になり二人は冒険者になった。


 ただ、がむしゃらだった。


 迷宮都市を目指しながら、新たな街に赴いてはそのギルドで依頼(クエスト)を受けて経験を重ねる日々。


 魔物や賊の討伐に明け暮れる中で、誰にも見向きをされない薬草採取や失せ物探しの依頼も積極的に熟して行った。


 その薬草で命を繋ぐ人も居れば、夫の形見のネックレスを無くして心を痛めた人も居た。


 確かに、費やした労力や時間に比べれば得られる報酬は少なかった。


 ギルドの職員も対応に困る様な、子供が少ないお小遣いで、“両親への誕生日プレゼントに綺麗な花を贈りたい”という依頼にも応えた。


 レオン・グレイシスとヴィル・アルマークのパーティ『鋼の翼』は、変わった二人組(デュオ)だと後ろ指をさされる事もあった。


 だが、他の冒険者が救わない人達を救うのが彼等の目指す冒険者だった。


 旅の中で、ミリンダ・ルクワードとライラ・リーイングと出会い、パーティを組む。


『鋼の翼』はその名の由来と想いである、英雄が騎乗したとされる鋼鉄の翼の聖獣の様に、躍進を続けた。


 幸い、彼等は“才能”に恵まれていた為に上位スキルの発現が早く、他の冒険者達に比べると大分、早熟。


 レオンとヴィルが旅に出て約三年、彼等はSランクへの昇級の機会を得たのだった。





 ――ドレイク。


 神代からその種類と数を減らしながら、今も尚、人類の大きな脅威である竜の一種。


 ギルドが、Aランク以下の冒険者が戦闘行為を禁じる危険指定種。


 Sランクへの昇級依頼(クエスト)の討伐対象であり、パーティ『鋼の翼』もレイド戦(共闘)に参加した。


 討伐は出来た。だが、『竜種を狩れた』と言えないだろう。


 指定された巣と思わしき渓谷にはドレイクの姿は無かった。


 共闘したパーティ『スレイヤーズ』の【テイマー】が使役する白い大柄の狼型の魔物であるホワイトウルフが、その奇襲に気付き開幕初撃での全滅は間逃れたものの、統率のとれた戦闘とは言えなかった。


 作戦は無意味に、連携は崩壊し、ただ各々がスキルや魔法を叩き込む大乱闘。


 結果として、生き残れただけの事。


『鋼の翼』は――レオン・グレイシスとヴィル・アルマークはSランクにはなれた。


“なれただけ”だったのだ。





 Sランクの認定を受けたその日。


「――俺達は、少し急ぎ過ぎたんじゃないか?」


「……は?」


 レオンの言葉にヴィルは耳を疑った。


「何を言っているんだレオン、僕達はその為に頑張って来たんじゃないか」


「そうだな。けど、無理をしてきたのも事実だろ?」


 その言葉にヴィルは目を見開いた。


「っ……。だが僕らの同期の『ホーリーソード』はとうにSランクになっているじゃないか。僕達も遅れをとる訳には……」


 レオンも言葉にするのは躊躇われたが、取り返しのつかない事になるよりは良いと、


「俺達とあいつ等は、【クラス】が根本から違う。リーダーは【パラディン】で、魔物に対して特効性がある聖属性持ちだ。それに【ヒーラー】の支援の他にメンバーの全員が回復魔法を使えるって話だ。戦線を維持する能力は俺達の――いや、他のパーティの比じゃない。――だから……」


「だから、“彼等は特別だ”と……言いたいのか。“此処から先”は僕達には無理だって?」


 それに、レオンは頷いた。


「いつか、迷宮都市に挑むのは良い。だけど、ソレは今じゃなくても良い筈だ。俺達の目指す英雄は――そういうものじゃないだろ?」


 始まりは、そんな“特別な存在”が救わない人々を救う為の英雄になる事だった。


 自分達に世界は救えない。


 万もの人を救えれば良い。千でも十分。百でも十でも……たとえ一だとしても、自分達で救える人が居るのなら誇りにも出来た。


 だから無理に功績を上げる事に固執して、危険に身を投じる事もあの人も望まない筈だとレオンは思った。


 それはきっとヴィルにも理解は出来たし、実感もあっただろう。


 だが、


「――自分の命も守れないようじゃ誰も救えない。限界は……誰にでもあるさ」


『鋼の翼』はSランクになれただけ(ここ止まり)だと、ヴィルにはレオンが諦めた様に思えてしまった。


 自分の力が理想に届かないから努力を止めてしまった、と。


 現実の前に、あの人と僕との誓いを――忘れてしまったのだ、と。


 レオンが強くなるから自分も負けない様にしてきた。


 レオンが先に進むから自分も追いつこうとしてきた。


 レオンが英雄を目指すから自分も諦めないでこれた。


「――そうか。君の言いたい事は分かったよ」


 彼が折れてしまったと、ヴィルは許せなかった。


「……でも、僕は止まらない、諦めない。必ず、僕は――」


 英雄になってみせる。


 レオン・グレイシス(親友)の分まであの人との誓いを守ってみせる。


 守らなければならない、とヴィル・アルマークは自身に託された短剣に誓う。



 ――同じ夢を見た二人は、いつしか離れていってしまった。






「……――」


 試合の前日。一しきり、話し終えたレオンは昔を懐かしむ様な、それでいて痛みを堪える様な表情をしていた。


 Sランクになった時、彼は自分が大勢を救える英雄には成れないと思い知ったという。


 そして、自分よりも冒険者として優れているヴィル達でも、万人を救う英雄には遠いと限界が見えてしまったのだ、と。


 だからこそ、無理に先に進む事は無い筈だと訴えた。


 ――ただ。


 先に進む為に、一度歩みを止めるべきだと思った友と、


 先に進み続ける為に、歩みを止められなかった友の歩幅が少し違っただけの事。


 そのせいで二人の距離が手や声が届かない程に開いてしまったのだ。



 レオンが彼等を止めようとしたのは、正しい判断だと彼女は思う。


 身に余る高ランクの依頼を受けるのは無謀だ。そうやって、今まで多くの冒険者が死んで行ったのだ。


 自身の【クラス】が真っ当ではないが故の弱さからくる劣等感と、ヴィル達が高ランクの依頼を無理を通して熟して行く後ろめたさに、徐々に彼等を止める事も躊躇われ、いつしか本当に自分の夢や目標も諦めてしまった。



 たとえ一人しか救えないとしても、その人の英雄になれれば良かった。


 少なくとも俺達で二人は救える。それで良いと思えていた筈なのに、と彼は弱々しく笑っていた。


 パーティを追放された時は寧ろホッとして、目障りな自分が居なくなれば彼等も己の無理に気付いて頭も冷える筈だ、と。



 だが、ヴィルは自分でも止まれない所まで来てしまった。


 だからこそ、レオンはヴィルとの勝負を受けた。


 本来ならもっと早く、パーティメンバーとして、友人として、家族として彼と向き合わなければならなかった贖罪の為。


『こんな俺は――英雄にはなれないだろうけど……』


 その癖と、


『リゼとしばらく冒険をして、リゼが信頼してくれて、それが嬉しくて、応えたいと思った。俺は――“リゼッタ・バリアンに必要とされたい”と思ったんだ』


 それが、今も尚、レオン・グレイシスが冒険者を続けている理由だという。


「いえ……貴方は既に、私の英雄ですよ」


 眠る彼の手を取った。


 事実、パーティを追放されて途方に暮れていた所をレオンのお陰でダンジョン攻略に出られていた。


 今回のユニークウェポンの換金分で目的である孤児院の運営資金の足しとしては十分な程だ。


 この短期間で目的を達成できたのは、レオンと出会えたからだと思う。


 もし、他の冒険者だったのなら今もせっせとダンジョンを巡っているだろうし、充実感も無かっただろう。


 それこそ、“昔、子供達に作っていたおやつを戦闘食として、用意する”など考えもしなかった筈だ。


 何よりリゼッタ・バリアンが焦がれていた英雄は、助けを求めるお姫様(誰かの為)の英雄だった。


 世界を救う大英雄は一人でも良い。


 だが、個人を救う名も無い英雄は一人でも多い方が、真に世界が救われると少女は思うのだ。


「この戦いが貴方の望む結末かは分かりませんが……今はどうか――ごゆるりと」


 彼の大きな手を包み、彼女は祈った。




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