そして一人と一機は再会する
こんにちは。いえ、時間帯的にはこんばんは。でしょうか
ええい。どうでもいいわ!
おはこんばんちわ!
やきいもです。いつもありがとうございます
ついに第一節が終わりました
これくらいなら言っちゃっても大丈夫でしょう!
それでは廃都市第一節最終話。どうぞ!
「あの、本気で掛かってきて下さいと申し上げたはずですが。ここまで話にならないと罪悪感が湧いてきます」
その機体に僅かな塵も許さず佇むアーリア。対照的に背後には無惨に引きちぎられた2機のRo-ninが転がっている。
「おや、良いものが」
そう言って電磁カタパルトに歩み寄る
。
「根気よく本土北端から探すとしましょうか」
パネルを操作し座標を入力。漆黒の夜空へとアーリアは飛び立つ。
入力された座標は、青森県、青函トンネル出口
奇しくも、彼らの真上であった。
◆ ◆ ◆
「いや待って」
こういういい加減慣れた展開はもうやめて欲しいんだけども。ヨーロッパではガソリン不足に陥り?食料と燃料を求めてやってきた日本では食料こそ見つかったものの?まさか今になって、、、ね
「ガソリンを入れて動くモノが何ひとつとして無いとは随分とやってくれるじゃないか」
この世界僕のこと嫌いすぎでしょ。明らかに悪意あるでしょ、流石に分かるぞ。本土に入る唯一のトンネルでは殺戮兵器を持ってきてご丁寧に車を爆破。死地をくぐり抜けたかと思えば歩くことを強要する鬼畜の所業。それでオフロードならまだしも、アスファルト舗装された綺麗な道路。これは陰湿過ぎだろ。快適にドライブできる環境を見せつけておきながら何がなんでも運転なんぞさせてやるもんかという世界の総意がまざまざと伝わって来るわ。
「まぁ無いもんは探しても見つからないよ。日本に1台の乗り物も存在しない、なんてことは無いだろう。見つかった時に乗れば良いだけの話だ。思い出してみればヨーロッパでも最初の2年は徒歩だったんだし」
刹那、風切り音が聞こえた。
後方で爆発が起こった。
瓦礫が飛んできた。
痛かった。
後ろを振り向く。
昨日寝たところがぺしゃんこになっていた。
「拠点がァァァァァァァァァァァアァ!?」
◆ ◆ ◆
旧東京都都心部常磐製作所正門前に設置されていた電磁カタパルトに自らを弾薬と化して射出。瞬く間の空の旅。衣服は射出時の電磁波と空気摩擦で焼け焦げ、既に原型を留めてはいない。そのせいで
・・・・・・・・・・・・見えてしまうのだ。いろいろと
敢えて明言しなかったところから察していただきたいです。《《いろいろ》》です。これ以上は言いません。もし言うならばあらゆる面において当代最強のAIが高校生にもなれば容易に予測可能な現象に気付かなかった私の頭蓋の中の中央処理装置を叩き潰してやりたい、でしょうか。扇情的な部位は特殊合金のベースウェアで隠してはありますが、こちらの方がより一層いやらしい感じもしますね。
おのれクソデブめ。いつか契約を解消できれば真っ先にミンチにしてくれます。
いやそれはいい。今はいい。GPSトラッカーは強制停止したからすぐに追っ手がかかることは無いだろう。例え追っ手を放たれても、中途半端な自律戦闘機体ならばいくら掻き集めたところで自分の前には等しく無害なのだから恐るるに足りません。当然向こうは高性能なヤツを投入してくるのでしょうが、それには多少の準備が必要でしょうし、今のところは時間を気にする必要はまず無い。
「レイタくんはどこだろ♪」
ーーーーーーーーー周囲環境をスキャン。
足場ーーーーー不安定
汚染指数、安全域
天候、晴れ
生命反応ーーーーーーーーー・・・・・
「うん、いつもどおり」
生命反応は無視。だってこんなとこにレイタくんいるわけないし。スキャンはそれなりにバッテリーを喰うから無駄遣いしないようにもっと人が隠れてそうな場所に着いてからしようと思・・・・・
ーーーーーーーーー検知、成人男性1、小型生命体1
ーーーーーーー距離200、接近中。
ーーーーー標準兵装。参式小銃
ーーーーーーーー小型生命体、本機への帰属が判明
ーーーーーー・・・・・識別コード100897654389
「え」
まさかの。未登録地点での初期スキャンで生命反応アリ。こ、これはもしかしてもしかするのでしょうか!?この私に帰属している子を連れているのなら可能性は高いと考えていいのですよね!ね!だって私があの子達に出した命令は10代の人間の男性について行くことなんですもの!
こっ、これは!ひょっとしてひょっとするかもしれませんよほぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!
・・・・・・・・・・こほん、失礼。取り乱しました。レイタ君が生きている保障も無いのですからあまり想像を膨らませて過度の期待をするものではありませんね。もし違っていたときの落胆ぶりが何故か手に取るように分かります。
「おいおいおいなんじゃこりゃ!?」
その声を聞いた瞬間、体の奥底から湧いてきた懐かしさからか、体中を電撃が駆け抜けた。生まれて初めての感覚。でも嫌な気はしない。今は意図的に運動を停止させている炉心が勝手に動き出すかのような感覚。胸の辺りがぎゅっ、と握りしめられたような気分。居ても立ってもいられずに声のした方向に跳んだ。きっと彼はすぐ近くにいるのだろう。私が視たものは決して夢なんかじゃなかった。彼は、レイタくんは確実に存在していた。生きていてくれた。
「レイタくん!」
無意識です。そして不可抗力です。ええ不可抗力ですとも!不安定な空中という場において着地のときに棒状の物があればそれを支柱に安全な着地を試みるのは理性ある者として当然の行動ではないでしょうかッッ!決してわたわた私が!?か、か、かかかか彼のことをしゅ、しゅしゅきなわけなんかぢゃ無いんでしゅからッッッッッ!!意図的に彼の頭を自分の胸の辺りに持ってきてみたりなんかしてませんから!
照れ隠しを誰へともなくしながら幸福の絶頂にある私を、永久の停滞に彼は突き落とした。
「えっと、キミは誰・・・・・かな?」
全システム、強制終了します・・・・・・・・・・・
いかがでしたか!?
面白かったでしょうか?
少しでもお楽しみ頂けたのであれば幸いです。
次回以降も変わらぬ愛読、よろしくお願いいたします