2日目
こんにちは。やきいもです
廃都市、第2話です!
どうぞお楽しみください!
カシャ・・・・・カシャ
白く覆われた無機質な部屋に機械の作動音のみが響いている。
tester Mr.reita out to Europe he is going to go to Japan to find aria . but I can't understand his moving , because aria is here . why does he can't understand aria is here? we have to more data about Mr.reita.
誰も見ない画面に高速で打ち出されるアルファベット。何を意味しているのか、レイタとは誰なのか。アーリア イズ ヒアの意味とは一体何なのか、まだ誰にも、分からない。
これを打ち出した、当のコンピュータさえも。
◆ ◆ ◆
「あー、結構寝ちゃった感触」
あのー、分かる?なんていうか頭はシャッキリしてるけど体は半分以上寝てるような気分。今、まさにそれだわ。ま、寝ちゃったもんはしゃあない。
さーて、気を取り直して歯ぁみがいて出発するか。今の天気が気になり、ふと空を見上げてみる。
「うっわ」
もう空が茜色に染まってきてる、ハッハッハ、予定めっちゃめちゃ狂ったなー、どうしよっかなー、あまりの衝撃に言葉が出てこないんだけど(^・^)
迷っていたその時、俺の頭に液体が落ちてきた。それは徐々に量を増やし、激しくなっていく。
「あ、あー、ハハハハハ。はぁぁ…。」
やっちまった。究極にやっちまった。雨降ってきやがった。でもまぁしゃあない。ここで一日遅らせればマグロ缶が一日分古くなっちゃうし?明日早く起きれる保証も無いわけだから?とっとと行くに越したことぁ無い。俺は寝袋を畳んで担ぎ、昨日までに集めた諸々を車にぶち込んでエンジンをかけた。静寂の中に音が響く。俺は鼻歌と共にアクセルを踏み込んで、勢いよく飛び出した。
「ふ~ふ~ふふ~ふふ~・・・・」
刻一刻と移り変わるはずも無い殺風景を楽しみながら車を疾ばす。たまに気になる山があるけど頑張って無視する。誰も居ない助手席には、つい最近拾った地図を広げてあるから道に迷ってガソリンを無駄遣いする心配も無い。実に安全快適な旅である。・・・・・・・・・・お?
今、視界の端で何かが動いたような気がしたんだが?気のせいだろうか。普段の僕ならガソリンの消費を気にして無視するのに、たくさんの良さげな山を無視してきた僕はおかしかった。あろうことか車を止め、何かが動いたような気がしたゴミの山に歩み寄って確認したところ、確かに居た。4足歩行で顔に髭を生やした、《猫》といわれる生物が、そこに。その生物は目をぱちくりさせて、僕を見て一声。
「ぅにゃっ?」
「ほぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・!?」
なんなんだ、この動物型自律式AIは?今まで見たことがない高音質スピーカーを内蔵している!感激し過ぎて思わずヘンな声が出たぜ、、こ、コイツを分解して僕の車に取り付ければ!この車は更にゴージャスに!クールに進化するッッッッ!僕はトランクから工具一式を取り出すと、早速猫型自律式AIの腹を掻っ捌いてやろうとしたが・・
その腹が金属質じゃなかった。こんな高性能な機械は継ぎ目がうまく隠されているから、鈍器で叩き潰して開けるのが定跡。動物型なら腹、人型なら背中、昆虫型なら分解を諦めて叩きのめすといった具合だ。いくら高性能で外見を動物に似せているからといって、内蔵まで再現できる訳ではない。だからいつもは堅い特殊合金が割れる、少しばかり気持ちいい感触があるはずで、どうでも良いけど俺はその感じが好きで。
でもそこにあるのはふにゃふにゃだった。
現実は柔らかかった。
なんだコイツ?一応チェックのために金属探知機当ててみるか。僕はポータブル金属探知機を猫型自律式AI(によく似た何か)にかざすと・・・・・・・ポータブル金属探知機の画面は緑に光っている。
「部品としての金属が体内に無いだと?」
僕の背筋に汗が流れる。おい、待てよ。そんな事があるわけがないだろう?人類はおろか、この世の有機生命体は全て蒸発しているはずなんだぞ?僕は核シェルターに居たからたまたま助かっただけで、普通はあり得ない。不審に思って何度もスキャンしてみるが、やっぱり結果は変わらない。グリーンだ。この機械が故障しているとも思えない。
だとしたら考えられるのは1つだけ。あの戦時下で核のγ線を遮断できる場所、いわば核シェルターのようなものが偶然できれば、本物の動物が生き延びた可能性は十二分にある。
でもまぁそんなことはあり得ないわけで?そもそも世界が滅びるほどの核爆発を遮られる偶然があるなら今頃僕には友達も居るはずで?そもそも人が入るようにうまい具合に瓦礫が落ちてくるとか無いわけで!
・・・・・・・・・・いや、待てよ。人か。猫と人は違うもんな。猫は頭が通る隙間ならどこかでも入れると図鑑にあった気がする。良い感じの隙間に猫が入ったあと、瓦礫で蓋をされたと考えれば、何ら違和感は無い。あるわけ無い、と決めて掛かるから分からないだけで、前提を変えてみれば意外といけるもんだな。まぁ良い。まずは目の前の猫に集中するか。正直言って、飼いたい。めっちゃ可愛いし、小っちゃいから邪魔になんないし、不足はひとつも無い。子猫だし。でもひとつ、僕の方に問題がある。それは単純にして解決困難を極めるもの。それとは・・・・・・・・・・
食料が、無い
いやいや、マジで。なーんもないわけよ。そもそも僕がなんでアジアに行こうとしてるか分かってる?ガソリンと食料が無いからだよ?それで猫を拾って飼うだと?頭湧いてんのかって話ですよ!!猫用のゴハンなんて一ミリも持ち合わせてないからね!?だめだだめだ!欲しいけどだめだ!・・・・・・・・・・でも、最後に撫でるくらいなら、良いよな?僕はそう思い、もふもふのカタマリに手をのばす。
「うみゅぅ~?」
猫がクリクリの瞳でこっちを見てくる。相っ変わらず可愛いよなぁ、コレ。いつまでももふれるわ。あーだめだ。もうだめだ!そう思い僕は車に乗り、車を再発進させた。
◆ ◆ ◆
少女は夢を見ていた。白い部屋で一人の少年と遊んでいる夢を。だがおかしい。改造人間は夢を視ないはずだ。改造されたときにそれ以前の記憶は全て抹消され、全く新しい一つの個体として生まれ変わるからだが、最近どうもおかしい。夢を見るだけならば、行動データの整理中に発生する不具合というのもありえるが、それは当日の行動に限られるはずだ。こんなことは先代45代を誇るアーリア家においても異例極まりないことであり、研究の価値は十分にある。
暗くて、それでいて白い部屋の奥で当代最強の改造人間が夢から醒める。
・・・・・・・・・・system all green....
「情報収集を、開始します。」
お楽しみ頂けましたでしょうか?
おバカさんですね。主人公君(笑)
ところで、ついに起動しましたよ。アレが!
今後の展開に乞うご期待!
それでは、終焉の世界を征く少年の隣に貴方を連れて行くことが叶いますように