令和~REIWA~
思ったこととか
世の中で何かが起きていようと、自分のことがままならない人間は事象を観測することすら出来ない。認識に割くためのリソースが足りないのだ。
締め切りの数十秒前まで放置していた応募選考のWeb入力を終えて、スマホの通知で日本の元号が変わったことを思い出す。SNSを開き、トレンドをチェックする。
――令和。
初見では安定感がない字面だなと思った。いや、平成がどっしりと構えすぎているだけか。よくよく見てみると綺麗な並びだと思わなくもない。
ただ、響きが何だか堅い。さすがにラ行から始まる言葉だ。あと、私の記憶違いじゃなければ、新元号が発表された位の頃から関東の空、曇りましたよね? 現代の基準に合わせると令の字は少し緊張する。
慌ててつけたテレビの画面では現首相が新元号の由来を話していた。天皇陛下がお話し下さるのではないのですね。あれ、確か、首相に一任するという話だっただろうか。令和の由来は、万葉集の梅の花の歌、三十二種の序文にある文章から引用とのこと。
「天平二年正月十三日に、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。『時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。』加之、曙の嶺に雲移り、松は羅を掛けて蓋を傾け、夕の岫に霧結び、鳥はうすものに封めらえて林に迷ふ。庭には新蝶舞ひ、空には故雁帰る。ここに天を蓋とし、地を座とし、膝を促け觴を飛ばす。言を一室の裏に忘れ、衿を煙霞の外に開く。淡然と自ら放にし、快然と自ら足る。若し翰苑にあらずは、何を以ちてか情を述べむ。詩に落梅の篇を紀す。古と今とそれ何そ異ならむ。宜しく園の梅を賦して聊かに短詠を成すべし。」出展:万葉集入門
二重括弧の中の部分から文字を取ったとのこと。
【令月】というのは何事をするにもよい月。めでたい月。陰暦二月の異称。心機一転にはお誂え向きなご様子。和は言わずもがなという感じか。
「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」
「悠久の歴史と四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄をしっかりと次の時代に引き継いでいく」
【平成】が「内外、天地ともに平和が達成される」という願いが込められていたことを思うと【令和】は趣が違うように感じる。世知辛くなった世の中でも清らかな心を持った人でありたいという思いを感じた。しかし、卑屈になっている人間がメディアで取り上げられて目立つ時代だから、そう思うだけでは? みんな日々の忙しさに忙殺されているだけで綺麗な心は持ち合わせてるぞ? 普段見えないだけでほとんどの人はいい人だぞ。
戦後の名残があった昭和からの平成。色々とあった平成だが、私は穏やかに暮らしていたのではないかと感じる。ただ、心綺麗にと言われても後期高齢化社会でそんな余裕あるかな? と思うよ。文化よりお金くれ。こういう心にした社会をどうやって変えていけばいいのか。通貨制やめて物々交換に移行しない? ある意味、ずっと言われてきていた終末みたいな未来に突入してしまったという印象がある。前の代から今の世代に至るまで、避けることの出来ない暗い転換期までトコトコやってきてしまったわけだ。
あの天皇陛下の思いに応えるためには綺麗で気高い元号にしたいという思い、未来につなげそうな思いもいいと思う。体現するのが大変そうだ。
さて、そろそろ散文を閉じなければ。時間は有限である。
そういえば、官房長官が炭文字を掲げたところは見ていない。SNSに上がっていた手話のワイプ映像と被っちゃった時の空気愛おしい。あはれ。
できれば、リアルタイムで見たかったのだが、時間の使い方やらが下手すぎる。こんなことだから本当にやりたいことに時間を使えないで現実逃避にばかりエネルギーを費やしてしまうのだ。めざせ、俺の中の理想の真人間。
ひとまず、令和の英語表記REIWAに決まったね。頭にrestricted〈制限された〉の頭文字を背負った世代に乾杯。十八年生まれには優しくすることを誓いましょう。僕ら平成は頭にHを被ってどこまでも生きていくから安心してくれ。