本当のサンタはいつでもきっとそこに居る〜活動報告で絶賛クリスマスパーティー実施中の菜須よつ葉さんへのクリスマスプレゼント〜
活動報告で絶賛クリスマスパーティー中の菜須よつ葉さんへのプレゼントです!
「知ってるよ。本当はサンタさんなんか居ないんでしょう? サンタさんは本当はパパなんでしょう?」
そう言った時のママの狼狽する顔を未だによく覚えている。
大人になった今はパパサンタはもう来ない。
「私のサンタさんは今年は何をプレゼントしてくれるのかしら」
キラキラと目を輝かせながら、友達が言う。
そう、皆んなにはイヴの夜にプレゼントをくれるサンタさんが居る。
恋人という名のサンタさんが。
私は今年も…。
いつもなら仕事で寂しさを紛らわせることが出来た。
でも、今年は日曜日。
「本当にサンタが居たらいいのに…」
でも、それは叶わぬ夢。
例え居たとしても、それは子供達だけの特権。
大人の私には縁のないこと。
今日は朝からずっと引きこもっている。
街へ出る勇気がない。
腕を組んで歩くカップルを見るのは辛い。
なのに、友達からデート中の写真なんかが飛び込んで来る。
思わずスマホの電源を切ろうとした時、着信があった。
誰からの電話なのかも確認せずに出た。
『四つ葉ちゃん、今、家に居る?』
誰?
聞き覚えのない声。
「…」
答えに迷っていると、電話の相手は言葉を続けた。
『窓の外を見てごらん』
恐る恐る窓のカーテンを開ける。
外は真っ暗。
何も見えない…。
そう思った途端、街路樹の一つが鮮やかな光に包まれた。
「えっ? どういう事?」
何が何だか解らなかった。
『メリークリスマス! 気に入ってくれた?』
よく見ると、その街路樹の元で誰かが手を振っている。
「あっ!」
『よかったら、降りてこない? 昼間、ずっとこれやっていたから、お腹空いちゃって。食事に付き合ってくれると嬉しいんだけど。それとも、もう食べちゃったかな?』
私が部屋にこもっている間、彼はずっとこの街路樹の飾り付けをしていたらしい。
「あ…。大丈夫です。私もお腹空いてます」
私はコートを羽織って部屋を出た。
「突然で気の利いたお店を予約するとが出来なかったから、こんなところでごめんね」
「いえ、どんなにお洒落なレストランでも一人で食べる食事は味気ないですから」
「でも、せっかくのイヴの夜に相手がボクで申し訳ない」
「そんな事はないですよ。この卵、出汁が染みていて、とっても美味しいですし」
「それは良かった」
そう言って笑う日下部さん。
なんだか、日下部さんがサンタさんに見えてきた。
まさか、おでんの屋台でサンタさんに会えるなんて…。
サンタさんは本当に居るんだな…。
あの時のパパだって、きっと本当のサンタさんだったんだ。