新人<<<終電
カタカタ
カチカチ
prrrr
聞き慣れた音がばかでかいオフィスに響きわたっている。
拝啓、田舎のお母さん。
今日も俺は元気に社畜ってます。
入社してもうすぐ1年になる俺に新たな業務が増えました。
今日から新人の子の世話役をすることになります。
その子とは9時30分に待ち合わせをしています。
しかもその新人というのが社長のお子さんらしいのです。
いずれは俺の上司になる方なので下手なことを言ったら俺の将来が断たれます。
ああ、なんで俺がこんな面倒なことを押し付けられなきゃいけないんだ!
いっそのこと俺に仕事押し付けてくる爽やかなクソ上司と一緒に殴り飛ばして仕事を止め畑を耕そうかと思ったりもします。
そうこうしているうちに約束の時間になりました。
まだ来ていないので俺は今日中には終わらないであろう今日の分の仕事を進めます。
とりあえず時間も守れない社会不適合者は死ねっっ!
「お疲れっした~」
「お先に失礼します!」
「じゃっ、あとはよろしくネ!!」
俺とは違い将来が期待されているイケメン同期やこれから合コンに行くのであろうOL、忌々しいくらい輝いているクソ上司たちが帰宅していくなか俺はPCと睨みあっていた。
とりあえず残業はいつものことだから問題はない。
もちろん終電までに間に合わせることを目標に全力で終わらせるつもりだ。
だがかもし仮に仕事が片付いたとしても俺は帰ることができない。
なぜならそう、新人の社会不適合者くんがまだ来ていないのである。
いくら社長の子供だからって調子に乗りすぎだろ。
ここは先輩としてキチッと言ってやる必要がある。
……まあ、その前に仕事が終わらないのだが。
このあと終電に間に合いそうだった俺はクソ新人のことなんか忘れ駅に走った。