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勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第1章 転生 新たなる物語
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第6話 転生、生まれ変わったらすごいことになってた

 いつからだっただろうか。このことに気づいたのは。

 私には、おぼろげだが前世の記憶というものがある。未だにおぼろげだけど。

 しかし、二つだけ確かな記憶がある。

 それは私が勇者召喚される途中で死んでしまったということである。

 そして、私の使命。今後召喚される者達と合流する事。

 私は、そのためにも出来るだけ強くなっておきたい。

 なので、3歳の誕生日から鍛錬をすることにした。



 時とは早いものでいつしか1年がたっていた。

 この1年の間に記憶の方もだいぶ思い出せるようになってきた。

 その中で一番の衝撃は、私…男だったですけど。

 そういえば、転生の時に言われていたっけ。転生後の種族、性別なんかはランダムだと。

 まぁ、今更そんなことを思い出したからといって私自身が変わるわけではなしね。

 そんな私が今、行っているのはスキルの確認だったりする。

 転生してから鍛錬として体力づくり、魔力関連の能力向上をしてきた。

 それも続けながら、今度はこの世界でいろいろと重要になるスキルの活用方法を練習している。

 やはり一番重要なのは万理眼だろう。



 万理眼を最初に使用したときには頭にすごい激痛が走った。あれは多分、見る必要もないようなことまで見過ぎたせいで、脳の処理能力を超えてしまったせいだろう。

 なので、この一年をかけて徐々に見る範囲を伸ばしていくことにした。そのかいあって万理眼のレベルが上がって、今ではレベル3になっている。

 そして万理眼はレベルが上がるにつれて、見える事柄が増えるのと、少しだが、理を操れるようになった。

 それと、万理眼は神眼系スキル、すなわち神々が持つ目であるため、レベルが上がるにつれて一緒に神性スキルのレベルも上がっている。

 神性スキル事態に特にこれといった効果はないが、このスキルが最大レベルである10に達したときに基礎レベル2000以上で神格を得るという。

 ちなみに、この知識はステータスを確かめるときにスキル詳細と念じれば得ることができる。



 その他には、生前から持っていたスキルは、上位者、体術、武器術、統率、分析、警戒、隠蔽、偽装、模倣、懐柔、交渉、脅迫、威圧、料理、裁縫、操縦の16個だ。

 この中の大半が何やら不穏なスキルばかりである。いまだに詳しくは思い出せないが、あまり人前で公開しない方がいいことに間違いない事をしていた気がする。


「ネリア~、ネリア。どこにいるんだ?」


 ちょうどリビングの方から父の声がする。どうやら今日は非番らしい。

 父の名は、ダリス・シャルティス・ドリュッセン。爵位は伯爵で、ミドルテッシモ王国シャルティス自治領領主兼第一近衛騎士団団長でもある。

 年齢は今年で292歳。エルフは人間の寿命の約10倍程なのでエルフとしては若い方である。

 ついでに言えば、私の母であるネイシアは305歳で、父の幼馴染だったそうだ。


「ネリア~、ネリア~っと、お、いたいた」


 自分の部屋にドアを開けて入ってきた。


「何か御用ですか、父上?」


 入ってきた父の方を向き用件を尋ねる。


「ネリア、もうすぐお前も1週間もすれば5歳だ。5歳になったら能力調査がある。能力調査は、これからのお前の人生にかかわってくる大切なものだ。だからどの様な結果が出て来てもよいように心の準備をしておきなさい」

「はい。わかりました父上」

「まぁ、ネリアは、かなり優秀だからな。あまり心配する必要は無いからな。以上だ」


 そういって部屋を出て行った。



 能力調査は5歳の誕生日の日に行う儀式で、ここで生まれてきた子供のステータスなどを調査するためのものだ。この結果から約一年間ぐらいかけて将来やりたいことや、なりたいものへの下準備を行うのだ。それを経てから初等教育学校へと通うこととなる。

 私は、すでに各種ステータスやスキルを知っているし、それに前世の記憶も取り戻しているおかげ、これから目指すべき目標も決めている。

 ただ、スキルや称号やらが普通の人とはかなり違う。これ、いろいろと問題になるんじゃないかと、少しヒヤヒヤしている。特に隠蔽、偽装、脅迫なんかが、ばれたらどんなことになるのやら不安である。



 そんなこんなで、ついに5歳の誕生日を迎える事となった。

 朝から外行きの服へと着替え、王都にある冒険者ギルドへと向かう。

 冒険者ギルドへと向かう理由は、能力調査に使う機器がギルドにしか置いていないからである。


 “国際ギルド連合直営冒険者ギルド・ミドルテッシモ王国支部”

 そう書かれた看板を掲げた建物へと入る。中は中央に総合受付、左側には食堂があり、右手側に買い取り、報酬受け取りカウンターがある。

 正面の受付まで行くと父が受付をすます。


「今日、予約していたドリュッセンだ。能力調査の手続きを頼む」

「ドリュッセン様ですね。確認いたしますので、少々お待ち下さい」


 受付担当は後方へ下がり、書類を確認して2階へと上げっていった。



 少しばかりしてから受付まで戻ってきた。


「お待たせしました。準備が整いましたので、こちらへどうぞ」


 受付担当にしたがって、2階へと上がる。

 2階へと上がり廊下の一番奥にある扉の前まで進む。


「支部長。ドリュッセン様達をお連れいたしまた」

「入れ」


 言葉に従い部屋の中へと入る。

 中央窓際に一人の男性が座っている。この男性がこのギルドのマスターで名前をガイルという。


「ようこそ、ギルド連合直営冒険者ギルド、ミドルテッシモ王国支部へ。私は支部長のガイルだ。今日の能力調査は私が立ち会うこととなった」

「支部長自らですか?」

「そうだ。なんといっても近衛隊隊長の娘さんの能力調査だ。かなりすごい結果が見れるかと思ってな」


 すごい結果というより、かなり危ない結果になりそうだが。

 そんなことを思いつつ、ガイルは机の引き出しから一枚の用紙を取り出す。

 その用紙はA4程のサイズで片面に魔法陣が描かれている。

 この用紙こそ今回の能力調査で使用されるステータス鑑定用紙である。


「さぁ、ネリア君。こちらに来てこの紙の上に手を置いてごらん」


 私は、言われたとおりに鑑定用紙に手を置く。

 私が手を置いた後、ガイルが鑑定用紙に手を置き魔力を流す。

 すると今まで魔法陣が描かれていたものがすっと溶けるように消えると、新たに文字列が浮かび上がってくる。


「もう、手をどけても大丈夫だ」


 手をどけるとガイルは、鑑定用紙を覗く。


「ふむ、名前、年齢、性別、種族に…と…」


 そこでガイルの言葉が途切れる。

 それからじーっと食い入るように内容を見ている。

 上から下まで何回か小さく唸り声を出しながら見る。

 見終わると深いため息をつきながら、体を後ろへと倒し背もたれに寄りかかる。

 しばらくその姿勢でいると父へと声をかける。


「えーと、ドリュッセンさん、ちょっとお話よろしいですかな」


 そういうと椅子から立ち上がる。


「えぇ、構いませんよ。それにしても何かあったんですか?」

「そうですね。まだ娘さんにどの様に話すかちょっとね」


 やはり思っていた通りの結果だ。普通はあんな称号が並んでいれば、子供に対してどのように説明すればよいか悩むだろう。


「それじゃネリア、私は少しガイルさんと話をしてくるから、ソファーにでも座って待っていなさい」

「わかりました」


 父はガイルに伴われ、支部長室の隣の部屋へと入っていった。



 ネリアを支部長室に待たせ、私はガイル氏とともに隣の談話室へと入る。

 扉を閉め、談話室に置かれているソファーへと腰掛けるとガイル氏は鑑定用紙を私の前に置く。

 どうやらまずは確かめろというらしい。私は鑑定用紙を手に取り、上から順に内容を確認する。

 名前、年齢、性別とここまでは特に問題はない。ただ次の種族のところで読むのが止まってしまった。


「種族、ハイエルフ…。まさか…」


 私はすぐさま基礎ステータスの方も確認する。

 通常の子供より全体的に数値が高い。特に魔力なんかは平均2程度なのに対しすでに60もある。

 一般的な魔導士の魔力が20~30であることからものすごく高い。

 実ステータスにすれば一般魔導士のレベルが大体50に届くかぐらいなので約100~150となる。

 つまり魔力に関して言えば一般魔導士の実ステータス換算で半分程度。

 これを基礎ステータスで持っているとなると、同じレベルぐらいでの実ステータスは300にもなる。

 これは、かなり喜ばしいことである。


「このぐらいだったらすぐにでも教えてもよいのではないか?」

「いや、確かにそこまでだったらよかったんですがね。スキルの方がちょっと」


 そういわれ、スキル欄へと目を移す。

 すでにスキル欄には結構な数のスキルが、それも高レベルで持っている。

 それにスキルの種類も家庭系のスキルもあるが、どう見たって普通の子供が持つべきでないスキルもある。それもレベルがかなり高い。


「これは…、確かになんと伝えればいいか…」

「そうなんですよ。それだけじゃなくて不明なスキルもありまして」

「不明なスキル?」

「えぇ、一つは上位者というスキル。私もこのスキルを見るのは初めてだ。それにレベル依存型ではなく固定型だ。固定型の特徴は、スキルが成長しない代わりにその効果が異常に高いスキルが多い。それに、このスキルの効果内容を確認することができない。つまりは…」

「固有スキルの可能性が高いということか」


 固有スキル。別名、ユニークスキル。世界に一人しか持ちえないスキル。確認されているスキルすべてが強力な力を持つものばかりで、能力鑑定用紙ではその能力を知ることができないほどである。


「この上位者というスキルの方は言葉の響き的に、支配系の上位スキルの可能性は高そうですね。まぁ、まだ名称だけでもわかっているだけでもいい方ですよ。問題はもう一つのスキルの方です。これではもしもの時に大変になりますからね。どうします?今度は鑑定士をお呼びしますが」

「いや、私の母に頼もうと思っている。私の知る限りで一番の鑑定士だからね。少しでもわかることがあるかもしれない」

「わかりました。それでは、どういたしましょうか?どこまでお伝えするつもりかによって、転写する内容も変わってきますので」

「ん~、とりあえずは、娘にはスキルのことは一旦、伝えるのは控えておきます。とりあえずスキル以外の情報だけ、いただきます」

「分かりました。それでは一度、転写してきますので、支部長室の方でお持ちになっていてください」


 支部長はそのまま談話室を出って行った。

 私は、隣の支部長室に待たせているネリアに、どの様に話すかを考えながら談話室を後にした。



 しばらくして父が談話室から戻ってきた。


「それでお話を終わりましたか、父上?」

「あぁ、大丈夫だ。あ~、それで…だな。能力調査は無事に終わったんだけどね。ちょっと問題というか、なんというか…」


 やはり、かなり問題があったようだ。なので、少し話しづらそうしている父に少し手助けを出す。


「私は、どんな結果になろうとも気にはしませんから、大丈夫ですよ」

「あぁ、そうか。なんか済まないね。娘に気を遣わせるなんて。わかった」


 父は、いったん落ち着かせるように深呼吸をする。


「ネリア。お前のステータスはなんの問題もなかった。それは安心してほしい。ただ、一部スキルについてわからないことがあったから、もう一度、調べる事にしたから、明後日にでも一度おばあちゃんのところに行こう」

「わかりました。帰ったらいろいろ準備します」


 ということで、どうやらもう一度、詳しく調べることにしたようだ。やはり、不明な状態だといろいろと問題があるのだろう。

 しばらくすると、ガイルが2枚の紙を持って戻ってきた。

 1枚は先ほどの鑑定用紙でもう一枚はその移しみたいである。


「はい、これがネリア君の能力調査の結果の写しだ。持って帰ってよく見て、これからに向けて考えてみるようにしなさい」

「はい、分かりました」


 ガイルから写しを受け取り、きれいに折りたたみ、持ってきていたファイルに入れる。

 こうして、お礼を言ってギルドを後にしたのだった。

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