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勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第3章 新たなる生命の誕生と新たなる生活
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第54話 息抜きに

またかなり間隔が開きましたが、54話始まります。

 私も晴れて正式に大人として扱われる年齢になった為、一度冒険者ギルドへと立ち寄っていた。

 今、私の持っている所属証は特別に発行されたものである為、色々と制限がかかっている。

 今までは支部長が特例として処理していたが今回、既定の年齢を超えたので正規の所属証に変更するために訪れただった。

 まず最初は昨日のうちに予約しておいていたので早速、受付へと向かう。


「すみません」


 受付に声をかけると、座っていた職員がこちらを向く。

 私の顔を見るとすぐにハッとした表情を浮かべる。


「ネリア様ですね。少々お待ちください!」


 まだ要件も言っていないのに、慌てたよう様子で受付を出ていく職員。

 私は、あまりにも突然だった為に何も言えずに立ち尽くすしかなかった。

 数分もしないうちに、急いだ様子で職員が戻ってきた。


「お待たせいたしました。すぐにでも支部長とお会いになれます。どうぞこちらへ」


 どうやら私が来たら素早く対応でもしろとでも通達されていたのだろう。

 まぁ待たせられるよりはいいので、何も言わずに職員の後に続いた。

 そして案内されたのは支部長室だった。

 ここに訪れるのもだいぶ久しぶりだった。

 何せ近頃は王子や弟も成長し、よく動き回っていて目が離せなくなっていて、かなり忙しかった。

 それにギルドの方に行く用事も特に無かった為、必然時に支部長室に訪れる事も無かった。

 そんな久しぶりな支部長室へと入る。

 中に入れば、待っていましたというばかりの様子の支部長であるガイルが椅子に座り待っていた。


「それでは失礼します」


 そう言ってここまで案内してきた職員が戻っていった。

 そして支部長室は私と支部長のガイルのみとなった。


「お久しぶりですね、ガイル」

「あぁ、そうですね。とりあえず座ってください」


 私はガイルの執務机の前には今回の為に特別に用意したのだろうか、いつもは無い椅子が置かれていた。

 言われたとおりに用意された椅子に座る。


「まずは成人おめでとうと言っとこうか」

「ありがとうございます」

「それで今回は所属証の更新の件だね」

「はい」

「それじゃ一度、所属証を預かるよ」

「どうぞ」


 ガイルに所属証を手渡す。

 ガイルは机の端に置かれていた装置を真ん中に置く。

 たしかこれは所属証を作成するときにも使っていた機械だった。


「あの、少しいいですか?」

「何だね?」

「この作業ってここでやる必要もない気がするんですが?」

「あぁ、そういう事か」


 話によれば特別に所属証を作った場合は、正式な所属証に移行する際は、必ず所属しているギルドの支部長が直接発行することになっているんだとか。

 という事で、預かってから数分で所属証の更新は終了した。

 やることはすべて魔導具任せなので、特に支部長自身がやる必要はないのだが、特別に発行された場合は発行自体は通常通りだが、最終決裁を行うために支部長が自身が発行作業を行わなければならないのだ。

 そんな訳で、発行が終わり所属証の更新が正常に完了していることを確認すると、書類の束を出してきた。


「これが今回の更新に係る書類だ。内容としては一般的な規範とかだな。あと最後にサインを頼む。それで今日はお終いだ」


 そう言って私の目の前に差し出してくる。

 差し出された書類を受け取ると、パラパラとめくる。

 内容は言われた通りに、よくある規約などを事細かく書いてあるものだった。

 普通なら殆ど読まないだろうが、私は全て読むようにしている。

 流石にパラパラと見ただけでは全ては読めないので、後で確認はするが。

 という事で、最後まで軽く確認をし、特に問題ないと確認したので、最後にサインをする。


「はい、これで大丈夫ですか?」


 サインをした書類をガイルに返す。

 ガイルは返された書類を確認し、同じくサインをする。

 2人のサインが終われば、ガイルは最後の書類のみを抜き取り、机の上に置いてあった決裁済みの書類入れの中に入れる。


「これですべて手続きは完了した。改めて歓迎しよう、ようこそギルド連合へ。我々はあなたの所属を歓迎しよう」

「ありがとうございます」

「とまぁ、これで終了だが、ほかに何かあるか?」

「特には」

「そうか。では後は、あまり必要はないかもしれないが、この書類は持ち帰ってもらおうか。一応、規則なのでね」

「えぇ、分かりました」


 そう言って、規約の束を受け取り、収納する。


「失礼します」


 そう言って支部長室を後にする。

 支部長室を後にして、次に向かったのは、依頼に関する掲示板の方だ。

 特にこれといった事はないのだが、情報収集の一環として、どのような依頼が出されているかを確認することは大事である。

 こういった依頼から、ある程度の情勢が掴めてくるからだ。

 という事で覗いてみたが、いつも通りの内容ばっかりだった。

 それはそれで問題が発生していないという事になるのだから良いのだが、最近、王子や弟たちの面倒を見ているという変わり映えのない日々を送っているので、少しつまらない。

 何か刺激的な事でもないかと期待したが、無いものは仕方がない。

 なので一通り見終われば、私はギルドを後にしたのだった。



 そしてギルドで所属証の更新をした翌日の朝、珍しいことに母が話しかけてきた。


「ネリア、ちょっといいかしら?」

「何でしょうか母上?」

「今日から1週間、時間は大丈夫かしら?」

「いつも通りの仕事以外はありませんが、どうしましたか?」

「そうね、簡単に言えば息抜きはどうかしらと思ってね」

「息抜きですか?」

「えぇ。最近、王子たちもある程度は落ち着いてきたようだから、あなたの事だから少し退屈になっているのじゃないかと思ってね。息抜きに私のところに1週間ばかり来てみないかしらと思ってね。どうかしら?」

「それは願ってもないことですが、私の仕事の方は大丈夫なのでしょうか?」

「それについては問題ないわ。すでに許可は取ってあるから」

「そうですか。わかりました。それではよろしくお願いします」

「わかったわ。それじゃ後で私の仕事場まで着て頂戴」

「わかりました」


 こうして母は部屋を出っていった。

 母の現在の職業は国直轄の宮廷魔導士団の団長である。

 宮廷魔導士団は、世界でも1位2位を争うほどの練度を誇っている。

 まだ私は、この世界の魔導士についてはあまり知らない。

 基本的にこの世界の魔導士自体の数が少ない。

 魔導士というのは単純に魔法などが扱えるからなれるという訳ではないからだ。

 魔導士になるためには専門の機関が存在しており、そこで認定された者のみである。

 その基準はかなり高く、更になるための試験の倍率も高くなっている。

 ただ、魔導士で無ければ魔法が使えないという訳ではない。

 魔導士ではなくても使えるのだが、それでも生活に仕える程度の火を起こしたり、周りを少し明るくする程度の魔法のみだったり、それでお金を稼げるほどの能力を持たない者がほとんどである。

 そんな訳で、魔法で暮らせる程度の者達を魔導士というのである。

 さらに魔導士に認定されれば、それだけで引っ張りだこになる。

 もちろん、その中でも優秀であるのならば国から召し抱えられることもあるのだ。

 そんな魔導士である母だが、仕事の内容については家で喋ることはほぼ無い。

 基本的に母は、自分の生活にまでに仕事を持ち込みたくない派である。

 という訳で私は、宮廷魔導士団について詳しくは知らない訳だ。

 分かっていることといえば、定期的に国中の凶悪な魔物の討伐をしたり、戦争になれば前線へと赴き、兵士たちに交じって戦闘を行うことぐらいである。

 なので、この機会にいつもどのような事をしているのかとかを、しっかりと観察しようと思う。

 それに魔導士団の実力を知ることを出来れば今後、魔法の練習に反映するば、更なる高みへと向かう事ができるかもしれない。

 そんな期待をしながら、私は王城へと向かう時間を待つのだった。



 そしてついに宮廷魔導士団の下へと訪れたのだった。

 場所は、王城から少しばかり離れたところにある宮廷魔導士団専用の庁舎へと訪れていた。

 庁舎の前まで来ると、そこにはすでに母が部下と思われる人達と待っていた。


「ようこそ、いらっしゃい」

「はい。本日から1週間程度お世話になります。よろしくお願いします」


 挨拶を交わして、母に先導されて庁舎内を見学する。

 内部は至る所に魔力障壁発生器などの魔導具などが至る所に設置されていた。

 これらの魔導具は大学や民間などで研究開発された物などを譲り受け、ここで実運用試験などを行っていたりするらしい。

 それから魔法の修練場へと案内される。

 魔法修練場は思っていたよりも広くはなかった。


「そこまで大きくないんですね?」

「はい。基本的に我々は実戦主義なので、こういった修練場で練習するというよりは、模擬戦を行う事の方が多いですね」

「そうなんですか」


 そして最後に母の執務室へと案内された。

 ここでこれからの予定を説明される。


「まずは、ネリアには最初に私達の訓練に参加してもらいたいと思っています。それが終われば、少し業務の一環の1つである魔導具の実用試験の手伝いをしてもらいたいと思っているのだけど、いいかしら?」

「わかりました」

「よろしい。それじゃ、あなたの使う場所に案内しましょう」


 そう言って、執務室の隣の部屋に移る。

 隣の部屋は机やちょっとした棚だけある殺風景な部屋だった。


「という事で、あなたにはこの部屋を使ってもらいたいと思っています。何か必要なものがあれば、私に言ってくれれば用意します」

「わかりました」

「それでは後ほど準備が出来次第、呼びますのでそれまではこの部屋で待っていてください」


 そう言うと、母は部屋を後にした。

 母が部屋を出ていった後、私はこの部屋が今まで何に使われてきたのかを視ることにした。

 万理眼で覗いて視れば、ここは元々、隣にある団長室の多目的室として設けられたモノだという事が分かった。

 ならば、あの母の事だ。頼めば、この部屋を今後も私が使えるようにしてもらうことも出来る筈だ。

 ちょっと、この部屋を使って私の能力を使って、この魔導士団の近くだからこそ試してみたい事もあるので、後で呼ばれた時にでも頼んでみる事にしたのだった。

次回は続きの話になります。

後、これからは仕事の関係上、定期的な投稿は出来なくなりそうです。(最近は出来てないですが)


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