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勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第2章 学生生活と冒険者生活
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第35話 年末から、その後の色々

仕事が忙しくあまりやる気になれずに居たため遅くなりました。

 季節が巡り、冬となった12ノ月の中頃

 ミドルテッシモ王国王都のドリュッセン伯爵家の屋敷は、年末のあれこれで忙しくしていた。

 そんな中、私は自室でこれから必要な物を揃えていた。


「ミセル」

「はい、何でしょうか?」

「皆を食堂に」

「わかりました」


 ミセルに私が雇っている全員を食堂に集めるように指示を出す。

 暫くしてミセルが私を呼びに戻ってきた。


「全員、揃いました」

「わかった。それじゃ行こうか」

「はい」


 そして机の上の袋の束を持ち、皆が集まっている食堂に向かう。

 食堂につくと、今私が雇っている扱いになっている人たちが、きれいに整頓して並んでいる。


「皆、集まっているね」

『はい』


 皆の前に立ち話始める。


「それじゃ、皆に集まってもらったのは、君たちに特別報酬を支払おうかと思ってね」


 その言葉に、その場がざわつく。


「静かに。言いたい事はあるようだけど、それは後にして。名前呼ぶから取りに来て」


 私の言葉に再び静かになる。

 それから一人ひとりに手渡しで袋を渡していく。


「それじゃ最初にミセル」

「はい、これね」

「ありがとうございます」


 呼ばれて前に出ると遠慮がちに受け取る。

 大体の理由は察しがつく。

 彼らには私以外に、このドリュッセン伯爵家からも使用人として給料が支払われている。

 それも、かなりたっぷりとだ。

 だからこそ、さらに私から貰っていいものか、ためらっているのだろう。

 それもすべてモノを渡してからだ。


「次、ジラス」

「あ、はい」


 こちらもミセルと同じようにためらいがちに受け取る。

 こちらは、先ほどの理由以外にもあるが、この後もっと驚きの展開になるだろう。


「そして最後にゼルファスト」

「はい」

「じゃ、これね」

「ありがとうございます。それにしてもよろしいのですか?まだ私も何もしていませんが」

「ん?してるだろ、通常以外の仕事も」

「それもそうでした、ありがたく頂きます」


 さすがにゼルファストだけは、私の意図をわかっているようだ。

 まぁ、このぐらい出来て当然の男だ。これだからこそ雇った意味がある。

 そんなわけで、総勢3名しかいないが、皆に無事手渡すことが出来た。

 最後にジラスをもう一度呼ぶ。


「ジラス。最後にやっておきたいことがある」

「な、何でしょうか」

「何も悪いことじゃない。君にとっていいことだ」


 そう言って1枚の紙を取り出す。


「これは?」

「君に課せられた犯罪奴隷の奴隷契約書だよ。つまり、これにて規定された罪科の償いは完了したという事だよ。おめでとう」

「え、えっと、あ、ありがとうございます?」

「どうした。うれしくないのか?」

「いや、そ、そういう訳では、ありませんが…」


 このまま、面白い百面相を見続けるのもいいが、そろそろ答え合わせといこう。


「どうしてかっていうと、簡単に言えば私が君の監察官を兼ねているからだ。


 この国の犯罪奴隷には監察官というのが設けられている。

 これは犯罪者に課せられている刑務を確認するとともに、奴隷保護の役目も追っている。

 私の場合は少しグレーなところもあるが、変に無理なことはさせないようにしてあるし、問題が発生しそうなら、先のその芽を摘み取ってきた。

 普通の犯罪奴隷よりは、かなり服務期間が短く、それでいて能力以上の事は求めてこなかった。

 それで聞いていたのと違ったせいで戸惑っているのだろう。


「という訳だから、今日から君は自由だ。あとは君のはんだに任せよう。もし、仕事先が見つからないというのならば、私の方でみてやる。どうする?」


 すると、その場で跪くジラス。


「ネリア様にお願いがあります」


 そして真っすぐこちらを真剣な表情で見つめてくる。

 私も姿勢を正す。


「聞こう」

「どうかわたしを引き続き雇ってもらえませんでしょうか?」

「理由を聞いても?」

「はい。ネリア様は今まで色々と私のために気を使っていてくれました。ならば私もその恩に報いたいと思ったからです」


 気づかれないようにしていたつもりだったが、少し露骨にやりすぎたか。どうやらバレていたようだ。


「わかった。君の気持ちは理解した。引き続き雇おうではないか」

「ありがとうございます」

「それじゃ、契約は明後日にするから今日は、これで終わりね。それと明日1日はお休みにするから。今日は解散」


 そう言って私は食堂を後にする。

 この後は明日の休みのために、片づけるべき仕事をこなしていった。



 そして月日は流れていく。

 学院の初年度は、これといった事は無く終了し、2年次もあまり代わり映えしない日々であった。

 相変わらず、ほとんど授業に出ることなく研究室で過ごした。

 小型通信機の方も大体完成し、術式のブラックボックス化を施し、基礎部品のみを市場に流すことにした。

 これの方が完成品を売る方より、多くの販売先を確保でき、それに製作者の名前があまり広がりにくい。

 一応、保険としてギルド連合に権利保護申請をしておいた。

 これで余計な手出しをされる心配はなくなった。

 そしてそれから2年次の半ば、私は学院長の元へとやって来た。

 学院では現在絶賛工事中である。

 今回はその件について話し合いを持つためにやって来たのだ。


「失礼します」


 扉を開けるとそこには既に何人かの人間が集まっていた。


「ネリア君、よく来てくれた。さぁ、そこに座り給え」


 指定された席につく。私が席についてから暫くして、最後の人物が現れる。


「どうもすみません、遅くなりました」


 そう言って入ってきたのはツナギ姿のおっさんである。


「いえ、それほど待っていないので問題ありませぞ。それでは人数も揃ったことですし、そろそろ始めましょうかな」

「そうですね。現場の事について色々と報告しておきたいこともありますしね」


 今しがた入ってきたこのおっさんは、現在学院で進められている学院改修工事の総合責任者のイワルコフである。

 ということで、すべての出席者が出揃ったところで会議が始まる。

 そして音頭をとるのは学院長である。


「それでは皆も揃ったことなので、そろそろ会議を始めたいと思います。では、最初は現在の進捗具合の方をイワルコフさんお願いできますかな?」

「わかりました。では現在の工事の進捗について、ご報告いたします」


 今、報告をしていることは、私が入学したときに学院長とあって話し合っていたことの1つだ。

 この学院は、とりあえず必要になったら、空いた土地に無計画に建物を建てていたせいで、複雑になり分かりにくくなっていた。

 特にこのような大型の学院で何か非常事態が発生した場合、複雑な状態では避難にとまどり、被害が拡大してしまう。

 それに来訪者には案内図も無いので、とあるときに3日も学院内で遭難したという事もあったらしい。

 そのような状態を改善するために、私が提案したのだ。

 それから私は、この改善計画のマネジメントを申し出た。


「マネジメント?何だね、それは?」

「そうですね。簡単に言えば、皆が円滑に行動できるように、それぞれの橋渡しをするようなことです」

「なるほど。確かに必要なことであろうな」

「えぇ、それにこの計画の全体像を知っているのは私だけですので。あとはお判りいただけますね?」

「う、うむ、そ、そうであるな。では、ネリア君に頼もうとしよう」

「ありがとうございます。それでは早速ですが、マネジメントにかかる費用についてですが…」


 という感じで話を付け今に至る。

 工事の現在の進捗の報告を終え、次に今後の予定を話し合う。


「それでは、次に今後の予定について報告いたします。現在の工事中の第2区画の工事は来月には完了する見込みです。これで建て替え工事については全て完了いたします。ここまではよろしいでしょうか?」


 周りを見回し、参加者の様子を確認し、次の話題に入る。


「よろしいようですから、次に入ります。次の工事範囲は第1区再開発地区で、ここでの計画は大まかな範囲では決定しているのですが、詳しい詳細なことまでは決まっておりません。なので今回はこの事について決めていきたいと思っております。あとは学院長お願いします」

「うむ、分かった。それでは皆の意見を募りたい。些細な事でもよい。よい意見を待っておる」


 それから1刻半あまりの間、色々な意見が出された。

 だいぶ内容が固められたところで、そろそろ私が提案するべきタイミングが来た。


「それではそろそろ意見が出そろったかな。それではまとめに入るが…、ネリア君、何か意見があるのかな?」

「えぇ、まとめに入る前に1つご提案しておきたいことがあります。これにより、今までより迅速に、かつ費用削減が出来ます」

「ほう、それは願ったりじゃが、どのような物かの?」

「はい。それでは説明させていただきたいのですが、その前に。どうぞ入ってきてください」


 そう言って扉の向こうにいる人物に声をかける。


「失礼します」


 そう言って入ってきた。


「君は…、確か高等教育部の魔導技師科のカールテスト君だったか?」

「は、はい、その通りです」

「という事で、これからの説明は彼がしていきます。それではお願いしますね」

「わかりました」


 それから彼が私の代わりに始める。

 今回、導入させてと思っているのは、汎用魔導回路版である。

 これは今まで魔導回路を引く際は、一々人間が描いていたのだが、この回路版を使うことによって、魔導回路を転写し複製を簡単に行う事が出来る。

 これにより作業の効率化と、回路を引く人間を減らすことが出来る。


「というのが概要となっています」

「うむ、ありがとう非常に素晴らしいものだ。それなにしても確かその研究は資金難で止まっていた筈だが…、あぁネリア君か」

「はい。パトロンになってもらいました」


 そう、何故彼をこの場に呼んだかというと、私が彼の研究を見つけ良いと思い、丁度資金難で行き詰まっているところを助けたのだ。

 これにより彼の研究も進み、この度この工事に間に合わせることが出来たのだった。


「そうか、それは良かったな。では君の研究成果を取り入れていこうではないか」

「ありがとうございます」

「では、これで全てかな?」

「えぇ、私から以上です」

「それでは今回の会議はこれまでとする。次回は追って連絡しよう」


 ということで、会議が終了した。

 その後も何回かの協議を進め、再開発地区の工事へと移ったのだった。

 それから私の学院生活は順調に進んでいく。

 そして時が経ち、初等教育を終え、中等教育へと移る。

 義務教育なのは初等教育だけなので、学院から半分近くの人間が卒業していった。

 しかし、私がいる特別教育学部は、人数のほとんどが貴族でそれ以外もそれなりのお金を持った者達である。

 つまりは、一切顔触れは変わっていないということである。

 そんな変わらない学院と日常を謳歌していたのだが、それはある日突然崩れる事となる。

 それは私が10歳の誕生日を迎えたその翌日であった。

次回から10歳の話になります。

10歳の話でこの2章は終わりです。

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